数字から言います。最低時給だけを並べると、最も高いのはオーストラリアのAUD 26.44(約¥2,961)、最も低いのはカナダBC州のCAD 17.20(約¥1,840)。その差は約1.6倍です。
それなのに、12ヶ月の実質負担で比べると順位は入れ替わります。時給が最も高いオーストラリアは家賃と食費も最も高いからです。
国選びで最初に見るべきは時給ではありません。「自分がまだ入れる国はどれか」です。年齢制限と申請枠で選択肢は勝手に絞られます。ここを飛ばして時給や雰囲気から入ると、決めた頃には申請期間が終わっている、という事故が起きます。
先に決めるのは「入れる国」。行きたい国はその次
ワーホリの国選びには順番があります。運営者が見てきた限り、失敗する人の多くは「行きたい国」から入って、制度の壁に後からぶつかっています。まず制度で絞り、残った選択肢の中から好みで選ぶ。この順番だと事故が起きません。
判断軸①:年齢の残り時間
年齢制限は交渉の余地がない、最も硬い制約です。そしてカナダだけが35歳までで、他の4ヶ国は30歳までという非対称があります。
| 国 | 年齢上限 | 枠・申請方式 | 滞在できる期間 |
|---|---|---|---|
| カナダ | 35歳まで | 抽選制(IEC・通年プール登録) | 最長12ヶ月 |
| オーストラリア | 30歳まで | 通年・枠の上限なし | 最長12ヶ月+セカンド/サードで最長3年 |
| ニュージーランド | 30歳まで | 通年 | 最長12ヶ月(延長制度あり) |
| イギリス(YMS) | 30歳まで | 年6,000枠・通年の先着(日本は2024年1月に抽選を廃止) | 最長2年 |
| アイルランド | 30歳まで | 年800枠・申請期間は年2回(1/15〜2/6、7/15〜7/31) | 最長12ヶ月 |
30代前半なら、実質的にカナダの一択に近くなります。逆に20代前半で時間に余裕があるなら、すべての国が選択肢に残るので、次の軸で絞ることになります。
判断軸②:締切が固定されている国から先に判断する
ここが見落とされがちな点です。イギリスとアイルランドは、申請できるタイミングが構造的に制限されています。
アイルランドは年800枠・申請期間が年2回しかありません(1/15〜2/6、7/15〜7/31)。この期間を逃すと最短でも約半年待ちです。イギリスは抽選が廃止されて通年申請になった代わりに年6,000枠の先着になったため、枠が埋まると年内は申請できません。
回避法:この2ヶ国が候補にあるなら、他の準備より先に申請カレンダーを確認してください。カナダ・豪州・NZは通年またはプール登録型なので、締切に追われる度合いが低くなります。
判断軸③:時給ではなく「時給 −(家賃+食費)」で見る
時給の絶対額は、そのまま貯金額にはなりません。
| 国 | 最低時給(現地通貨) | 円換算の目安 | 物価の体感 |
|---|---|---|---|
| オーストラリア | AUD 26.44 (カジュアル雇用 33.05) | 約¥2,961 (カジュアル 約¥3,702) | 最も高い。家賃・食費とも重い |
| イギリス | GBP 12.71 | 約¥2,745 | ロンドンが突出して高い |
| アイルランド | EUR 14.15 | 約¥2,618 | ダブリンの住宅難が最大の難所 |
| ニュージーランド | NZD 23.95 | 約¥2,275 | やや高い。観光地はさらに高い |
| カナダ | CAD 17.20 (BC州。州ごとに異なる) | 約¥1,840 | 都市差が大きい。カルガリーは軽い |
改定時期=豪2025年7月/英2026年4月/愛2026年1月/NZ2026年4月/カナダBC州2025年6月。円換算はAUD¥112・GBP¥216・EUR¥185・NZD¥95・CAD¥107で計算(2026年7月時点)。為替は日々動くため円換算は目安です。最新の賃金額は各国政府の公式情報でご確認ください(確認日:2026年8月8日)。
運営者はバンクーバーに5ヶ月、バンフに7ヶ月の計12ヶ月滞在しました。カナダの最低時給は5ヶ国で最も低い部類ですが、実際に手元に残った額はそこまで悪くありませんでした。理由は3つです。
①チップがあるため、接客職の実収入は時給表より上振れします。②州で税負担が違う(アルバータ州は州税が軽い)。③リゾート地の住み込みでは家賃と食費が給与から相殺される形になり、支出の変動幅そのものが小さくなります。
つまり、時給表だけを横に並べる比較は、実態の半分しか映していません。数字を見るなら「時給 −(家賃+食費)」まで落として比べてください。
国別の完全ガイド
各国の制度・費用・仕事事情は、以下の記事で個別に掘り下げています。
カナダ(運営者の一次体験がある国)
- カナダワーホリ完全ガイド|抽選制IEC・5都市別の仕事事情・運営者12ヶ月の実体験
- カナダ渡航のベスト時期|都市は6月、スキー場は9〜10月に動く理由
- カナダの仕事探し完全ガイド|ローカル職を取るまでの実際の手順
- カナダ語学学校の選び方|費用・国籍比率・エリアの見極め
- カナダの銀行口座開設|5大銀行の比較と必要書類
オーストラリア
- オーストラリアワーホリ完全ガイド|AUD 26.44で実際いくら稼げるか
- ファーム88日・セカンドビザ完全ガイド|稼げる作物と地域の選び方
- 豪州渡航のベスト時期|5ヶ国で最も自由度が高い国の使い方
ニュージーランド
- NZワーホリは実際いくら稼げるか|二毛作で黒字を作る設計
- NZの最低賃金と手取り|時給約¥2,275から月にいくら残るか
- NZ渡航のベスト時期|スキーは5〜6月、さくらんぼは10〜11月
イギリス・アイルランド
- 英国ワーホリ(YMS)完全ガイド|抽選なし・通年申請・年6,000枠・最大2年
- 英国渡航のベスト時期|先着枠だから「申請が先、計画は後」
- アイルランドワーホリ完全ガイド|800枠・申請スケジュール・時給€14.15
フィリピン(ワーホリ制度はないが、組み合わせる国)
- フィリピン×ワーホリ「二カ国留学」完全ガイド|英語準備3〜6ヶ月で実質黒字を作る設計
国をまたいで比べる記事
- ワーホリ5ヶ国どこが一番得か|費用と稼ぎの年¥200万差を数字で比較
- カナダ vs オーストラリア徹底比較|最も多い二択に決着をつける
- 渡航のベスト時期(総合)|航空券の安さと仕事シーズンが重なる窓
- ワーホリビザ申請完全ガイド 5ヶ国別|条件・手順・費用
- 年齢別の戦略|20代前半・後半・30代前後で変わる現実
- ワーホリ vs 語学留学 vs 海外大学進学|そもそもワーホリが最適解か
それでも迷うときの決め方
制度で絞っても2〜3ヶ国が残ることはよくあります。その場合は「何を最優先にするか」を1つだけ決めると、答えが出ます。
| 最優先にしたいこと | 有力な選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 英語環境を最大化したい | 豪州・NZの地方/カナダの非主流都市 | 日本人が集中する都市を外すほど、英語を使わざるを得ない環境になる |
| 貯金を最大化したい | 豪州(住み込み・カジュアル雇用) | 時給の絶対額が高く、住み込みなら家賃と食費が圧縮される |
| 滞在期間を長く取りたい | 豪州(最長3年)/英国(最長2年) | 延長制度があるのはこの2ヶ国。1年では足りないと感じる人向け |
| 年齢制限に余裕がない | カナダ(35歳まで) | 30代前半で申請できるのは実質カナダ |
| ヨーロッパを拠点にしたい | 英国・アイルランド | 周辺国への移動コストが低い。ただし住居費は重い |
「今は円安だからこの国が得」という判断は、渡航が1年先ならほとんど意味を持ちません。為替は1年で10〜20%動くことがあり、準備期間中に前提が変わります。
為替が効いてくるのは「いつ両替するか」「どの手段で送金するか」という運用の場面です。国選びは為替ではなく、年齢・枠・滞在期間という動かない条件で決めてください。
よくある質問
ワーホリで一番稼げる国はどこですか?
最低時給だけで比べるとオーストラリアがAUD26.44(カジュアル雇用は33.05)で最も高く、円換算では約2,961円になります。ただしオーストラリアは家賃と食費も5ヶ国で最も高いため、手元に残る額が必ずしも最大になるとは限りません。判断は時給ではなく、時給から家賃と食費を引いた差額で行うことをおすすめします。
30代でも行ける国はありますか?
カナダは35歳まで申請できます。オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・アイルランドは30歳までのため、30代前半の方は実質的にカナダが中心の選択肢になります。年齢の数え方は国ごとに異なるため、申請時点の年齢要件を各国政府の公式情報で必ず確認してください。
申請の締切が厳しい国はどこですか?
アイルランドは年800枠で申請期間が年2回(1月15日〜2月6日、7月15日〜7月31日)に限られます。イギリスは2024年1月に抽選が廃止されて通年申請になりましたが、年6,000枠の先着制のため枠が埋まると申請できません。この2ヶ国が候補にある場合は、他の準備より先に申請カレンダーを確認してください。
国はいつまでに決めればいいですか?
ビザが下りないと保険も航空券も確定できないため、逆算すると出発の約100日前には国を決めてビザ申請に入るのが目安です。イギリス・アイルランドは申請期間の制約があるため、さらに早い判断が必要になります。
このカテゴリ以外のガイド
本ページの数字は各記事の執筆時点で公的情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度・賃金・為替は変更されるため、実際の判断前に各国政府の公式情報で最新の内容をご確認ください。