まず、いちばん誤解されている点から。
予防接種はビザの要件ではありません。カナダ移民局は健康診断の案内で、ワクチン接種について「完全に任意であり、検査の一部として要求されるものではありません」と明記し、さらに「ワクチンを受け入れなくても、申請を拒否することはありません」としています。
一方で、健康診断や結核検査が「要件」になることはあります。そしてここが本題です。
必要かどうかを決めるのは、国籍ではありません。「直近でどこに住んでいたか」です。
だから日本から直接渡航するなら不要でも、フィリピンで語学留学を6か月してから英国のYMSに応募する場合は、結核検査が必要になり得ます。フィリピンは英国の対象国リストに入っているからです。
この記事では、カナダと英国の公表資料から、条件・期限・費用・検査の中身を整理します。
- ワクチンは任意——カナダが明記しています
- カナダ——健康診断が必要になる条件
- 英国——結核検査は「3つすべて」を満たす場合
- ここが実務の核心——フィリピンと韓国はリストにあります
運営者は大学時代に米国へ半年の交換留学、卒業後にカナダで12ヶ月のワーキングホリデー(バンクーバー5ヶ月+バンフ7ヶ月)を経験しました。英語は高校で赤点20点台、渡航前のTOEICは500点台、帰国後に780点。年収は渡航前450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になっています。訪問したのは米国とカナダのみで、他国は各当局の一次情報を調べてまとめています。
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ワクチンは任意——カナダが明記しています
「拒否しても申請は拒否されない」と書かれています
カナダ移民局(IRCC)の健康診断ページには、次の記載があります。
「ワクチン接種は、完全に任意であり、検査の一部として要求されるものではありません」。そして「あなたがワクチンを受け入れなくても、私たちが申請を拒否することはありません」。
ただし、接種済みの証明を持参することは奨励されています。挙げられているのはジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブ(Haemophilus influenzae type b)、麻疹、おたふくかぜ、風疹、ロタウイルス、B型肝炎、COVID-19です。
それでも「接種証明は必須ではありません」と明記されています。持参して同意した場合、パネル医師が接種歴を記録し、移民局に共有するという扱いです。
つまり「ワーホリに行くから予防接種を受けなければならない」という制度上の義務は、少なくともカナダにはありません。
これは「受けなくてよい」という意味ではありません。渡航先の感染症の状況に応じて医学的に推奨される接種は別の話です。その判断は医師の領域であり、本記事では扱いません。渡航前に医療機関や検疫所にご相談ください。ここで確認したのは「ビザの要件かどうか」だけです。
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滞在が6か月を超えるかどうかで分かれます
【6か月を超えて滞在する場合】——ワーキングホリデーは通常ここに当たります。次の「いずれか1つ」に当てはまれば健康診断が必要とされています。- カナダに来る前の1年間に、指定された国・地域に連続6か月以上、居住または渡航した
- 公衆衛生を守る必要がある職業に就く
- 親・祖父母のスーパービザを申請する
ここは見落としやすい点です。ワーホリで保育や学校関連の仕事を考えている場合、滞在が短くても健康診断の対象になり得ます。
また農業労働者については、「カナダに来る前の1年間に指定国に連続6か月以上滞在した場合」という条件が別に設けられています。ファームのような働き方を考えている方は確認してください。
英国——結核検査は「3つすべて」を満たす場合
英国の案内では、次の3つが「すべて真」の場合に結核(TB)検査が必要とされています。
- ①英国に6か月以上滞在する目的で来る
- ②指定された国のいずれかに6か月以上住んでいた
- ③直近6か月以内に、そこ(または指定された別の国)に住んでいた
カナダは「来る前の1年間に連続6か月以上」、英国は「6か月以上住んだ」かつ「直近6か月以内にそこにいた」。
同じ「6か月」という数字が並んでいても、意味が違います。英国の③があることで、過去に長く住んでいても、直近6か月そこにいなければ対象外になり得ます。
ここが実務の核心——フィリピンと韓国はリストにあります
英国が公開している対象国リストには、日本人が渡航しやすい国が複数含まれています。フィリピン、韓国、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシア、中国、香港、インド、ネパール、カンボジア、ラオス、モンゴル、ミャンマー、スリランカ、ロシアなど。
一方、日本はこのリストに含まれていません。オーストラリア、カナダ、ニュージーランドも含まれていません。
ここから実務上の結論が出ます。
- 日本から直接、英国YMSへ——結核検査は不要(他の条件も満たさないため)
- オーストラリアでワーホリ1年 → 英国YMS——豪州はリストにないため、この経路では対象になりません
- フィリピンで語学留学6か月 → 英国YMS——フィリピンはリストにあり、6か月以上住み、直近6か月以内にそこにいたことになるため、3条件を満たし得ます
- 韓国でワーホリ → 英国YMS——同様に対象になり得ます
本記事では、個別のケースが該当するかを判定しません。滞在の形態や日数の数え方で結論が変わるためです。2か国目を考えている方は、申請前に必ず当局の案内で自分の経路を確認してください。
検査の中身と、有効期間
期限が違います。ここは計画に直結します
英国の結核検査——胸部X線を受けます。「X線の結果が明確でない場合、喀痰(肺から咳き出した痰)のサンプルを求められることがあります」。そして「ビザ申請のために、結核を調べる他の検査を受ける必要はありません」と明記されています。結核でないと判定されれば証明書が発行され、有効期間は「X線を受けた日から6か月」です。
カナダの健康診断——身長・体重、聴力・視力、心音と肺音、腹部の触診、四肢の可動、皮膚の確認。年齢によって胸部X線と血液・尿の検査が加わることがあります。
結果の有効期間は12か月です。「学生または就労者の場合、レターオブイントロダクションに結果の失効日が記載されます」とされ、その期間内にカナダに入国しない場合、再度の検査が必要になることがあります。
| 英国(TB検査) | カナダ(健康診断) | |
|---|---|---|
| 条件 | 3つすべて | いずれか1つ |
| 期間の起点 | 直近6か月以内 | 来る前の1年間 |
| 有効期間 | 6か月 | 12か月 |
かかりつけ医では受けられません
指定された医師のリストから選びます
カナダの案内には「パネル医師(panel physician)のリストにある医師の診察を受けなければなりません。あなた自身のかかりつけ医は健康診断を行えません」と明記されています。そして「パネル医師は、あなたの健康診断について最終的な決定を行いません。決定を行うのは私たち(移民局)です」とも書かれています。つまり医師は検査と報告を行う立場で、可否の判断は当局が行います。
英国も同様に、「内務省が承認したクリニック」で受ける必要があるとしています。承認クリニックがない国もあり、その場合は別の国で受けることになります。
持ち物としてカナダが挙げているのは次のとおりです。
- 身分証明書——パスポートを強く推奨。運転免許証が使えるのは豪州・カナダ・NZ・英国・米国発行のもので、かつまだその国にいる場合に限られます
- 眼鏡またはコンタクトレンズ(使用している場合)
- 既往症・現在の疾患に関する医療報告書や検査結果
- 現在服用している薬のリスト——薬の持ち込みの手続きとも重なる項目です
- 写真4枚(パネル医師がeMedicalを使わない場合。事前に確認するよう案内されています)
検査で不安になりやすい点——公表されている内容
付添人を求める権利が明記されています
カナダの案内には、次の記載があります。「あなたには、健康診断中いつでも付添人(chaperone)を求める権利があります」。
具体的には「医療機関にスタッフを部屋に同席させるよう頼む」「医師が何をしているのか質問するために、いつでも検査を止める」「最初は断っていても、あとから検査を止めて付添人を求める」ことができるとされています。
そして検査の範囲についても明記があります。「パネル医師や医療スタッフは、性器や直腸の部位を検査しません。これらの部位は移民健康診断に必要ありません」。
乳房の検査が必要な場合については、「なぜ、どのように検査を行うのかについて説明を提供します」とされています。
これは知らないまま受けるのと、知って受けるのとで負担がまったく違う情報です。女性の安全対策でも触れましたが、制度に「断る権利」「止める権利」が用意されている場合、それは行使してよいものとして書かれています。
あわせて読みたいワーホリで貯金は作れるか|貯まる額を決める要素と作り方時給が最も高い豪州で働いても、都市部で家賃と食費を自分で払えば手元には残りません。逆に時給の低いカナダでも住み込みなら支妊娠中の場合——結果まで最大8週間
英国の案内では、妊娠中に結核検査が必要な場合、次から選べるとされています。
- 妊娠中期・後期に、追加の遮蔽をしたX線——「あなたと胎児を守るための追加のシールド」と記載されています
- 喀痰検査——「追加の料金がかかる場合があり、結果まで最大8週間かかることがあります」
- 出産後まで待つ
なお子どもについては、「すべての子どもが臨床医の診察を受け、X線が必要かどうかを判断されます」とされ、「11歳未満は通常、胸部X線を受けません」と記載されています。
費用の扱いと、逆算した準備の進め方
ここからは、判断したあとに効いてくる具体的な話をまとめます。
費用は自己負担で、返金されません
「健康診断に関するすべての費用を、予約時にお支払いいただく必要があります」として、次が挙げられています。
- パネル医師または放射線科医の費用
- 必要となる特別な検査、精密検査、治療
- 受診が必要な専門医
パネル医師が提供するワクチンを受けることを選んだ場合、その費用がかかる可能性もあるとされています。「パネル医師の料金や、地域の慣行によって異なります」。
金額は国や医療機関によって変わるため、本記事では示しません。予約時にご確認ください。
逆算すると、いつ動くか
期限があるものから並べます
- ①自分の「直近の居住歴」を書き出す——過去1年、どの国に何か月いたか。ここがすべての起点です
- ②渡航先の当局ページで、対象国リストと条件を確認する——国籍ではなく居住歴で判定されます
- ③該当するなら、承認クリニック/パネル医師を探す——かかりつけ医では受けられません
- ④有効期間から逆算して予約する——英国のTB証明書は6か月、カナダの健康診断結果は12か月
- ⑤持ち物を揃える——身分証、服用中の薬のリスト、既往症の資料、(必要なら)写真4枚
渡航前に確認する4つ
- ①ワクチンはビザの要件か:カナダは「完全に任意」「拒否しても申請は拒否しない」と明記しています
- ②自分は健康診断・結核検査の対象か:判定基準は国籍ではなく居住歴です
- ③有効期間はいつまでか:英国のTB証明書は6か月、カナダの健康診断は12か月
- ④費用はいくらで、返金されるか:カナダは全額自己負担、申請が拒否されても返金なしと明記しています
「ワーホリに行くなら予防接種を受けなければならない」——これは制度上の話としては正確ではありません。カナダは接種を「完全に任意」とし、拒否しても申請を拒否しないと明記しています。
要件になり得るのは、健康診断と結核検査のほうです。そしてその要否は、国籍ではなく「直近でどこに住んでいたか」で決まります。
だから日本から直接行く場合と、フィリピンや韓国を経由した場合とで、結論が変わります。フィリピンと韓国は、英国の対象国リストに含まれています。2か国目のワーホリを考えているなら、ここは必ず確認してください。
そして条件の組み方も国によって違います。カナダは「いずれか1つ」、英国は「3つすべて」。同じ6か月という数字でも、起点が違います。
この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしました。ただし本記事は移民健康診断や結核検査を実際に受けた体験を書いたものではなく、各国当局の公表資料を整理したものです。英国は訪問しておらず、記載は公表資料の調査に基づきます。
出典は、カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)「Medical exams for visitors, students and workers」(ページ更新日2026年8月4日)、GOV.UK「Tuberculosis tests for visa applicants」および同「Countries where you need a TB test for your UK visa application」です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事は医療上の助言ではありません。どのワクチンを受けるべきか、既往症がある場合にどうすべきかといった判断は、いずれも医師の領域です。渡航先の感染症の状況に応じた接種の要否については、医療機関または検疫所にご相談ください。本記事で確認したのは「ビザの要件かどうか」のみです。
また本記事は、個別のケースが健康診断・結核検査の対象になるかを判定するものではありません。滞在の形態、日数の数え方、ビザの種類によって結論が変わり得ます。対象国リストの内容は本記事では全件を掲載しておらず、記載した国名も一部です。必ず当局の最新の一覧でご確認ください。
本記事では、オーストラリア・ニュージーランド・アイルランドなど本文で扱っていない国の健康要件、永住権申請時の要件、既往症がある場合の審査、検査費用の具体的な金額、承認クリニックの一覧については扱っておらず、判断も示していません。
制度は変更されます。対象国リスト、条件、有効期間、費用はいずれも改正され得ます。申請の前には必ず、渡航先の移民当局の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
本記事は法的助言ではありません。個別の事情については、渡航先の在日大使館または移民当局にご相談ください。
ビザは条件を満たすかどうかより、「いつ動くか」で結果が変わる制度が多くあります。抽選、発給枠、年齢の上限。準備が整うのを待っていると、枠のほうが先に閉じます。
① 段取りごと相談する|留学ジャーナル
40年以上の実績で、豪州・カナダ・NZ・英国・アイルランドすべてに対応とされています。手続きの順番は国によって違うため、渡航先が決まった時点で一度確認しておくと手戻りが減ります。資料請求・カウンセリングは無料です。
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② 2社目の見解を取る|ラストリゾート
ワーホリ・語学留学の取り扱いが幅広く、資料請求・セミナー・カウンセリングと入口が分かれています。1社の説明が妥当かどうかは、2社目を並べたときに分かります。
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③ 現地で連絡が取れる状態を作る|Glocal eSIM
手続きも仕事探しも、連絡が取れないと止まります。注文から開通まで90日の猶予があるので、渡航前に買っておけます(公式サイトの記載・2026年8月確認)。到着してSIMを契約するまでの空白を、先に埋めておく選択肢です。
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よくある質問
ワーホリに予防接種は必要ですか?
ビザの要件としては、必要とされていません。カナダ移民局は健康診断の案内で、ワクチン接種について「完全に任意であり、検査の一部として要求されるものではありません」と明記し、「ワクチンを受け入れなくても申請を拒否することはありません」としています。ただし接種済みの証明を持参することは奨励されており、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヒブ、麻疹、おたふくかぜ、風疹、ロタウイルス、B型肝炎、COVID-19が挙げられています。なお医学的に推奨される接種の要否は別の話で、医師の判断領域です。
健康診断はどんな場合に必要になりますか?
カナダの場合、6か月を超えて滞在するなら「いずれか1つ」に当てはまれば必要とされます。①来る前の1年間に指定国・地域へ連続6か月以上居住または渡航した、②公衆衛生を守る必要がある職業に就く、③親・祖父母のスーパービザを申請する、です。6か月以下の滞在でも、医療・保育・学校・在宅ケアなど公衆衛生に関わる職業に就く場合は必要とされています。
英国の結核検査はどんな条件で必要ですか?
3つすべてが当てはまる場合とされています。①英国に6か月以上滞在する目的で来る、②指定された国のいずれかに6か月以上住んでいた、③直近6か月以内にそこ(または指定された別の国)に住んでいた、です。カナダが「いずれか1つ」なのに対し、英国は「すべて」を満たす必要がある点が違います。
日本から行く場合も検査が必要ですか?
日本は英国の対象国リストに含まれていないため、日本から直接渡航する場合は条件を満たしません。ただし判定されるのは国籍ではなく居住歴です。たとえばフィリピンや韓国は対象国リストに含まれており、そこに6か月以上住み、直近6か月以内にそこにいた場合は3条件を満たし得ます。フィリピン語学留学を挟んでから英語圏へ、という経路を考えている方は特にご確認ください。なお本記事では個別のケースの判定は行いません。
検査結果はいつまで有効ですか?
英国の結核検査の証明書は「X線を受けた日から6か月間」有効とされています。カナダの健康診断結果は12か月有効で、学生や就労者の場合はレターオブイントロダクションに失効日が記載されます。その期間内に入国しない場合、再度の検査が必要になることがあります。有効期間があるということは、早く受けすぎても失効するということです。
かかりつけの病院で受けられますか?
受けられません。カナダは「パネル医師のリストにある医師の診察を受けなければなりません。あなた自身のかかりつけ医は健康診断を行えません」と明記しています。またパネル医師は最終決定を行わず、可否の判断は移民局が行うとされています。英国も内務省が承認したクリニックで受ける必要があるとしています。
検査で不安なことがあります
カナダの案内には「健康診断中いつでも付添人を求める権利があります」と明記されています。スタッフの同席を頼む、質問のために検査を止める、最初に断ったあとでも付添人を求める、いずれも可能とされています。また「性器や直腸の部位を検査しません。これらの部位は移民健康診断に必要ありません」とも記載されています。乳房の検査が必要な場合は、理由と方法の説明が提供されるとされています。
費用はどれくらいかかりますか?
本記事では金額を示しません。国や医療機関によって変わるためです。カナダの案内では、パネル医師または放射線科医の費用、必要となる特別な検査・精密検査・治療、専門医の受診費用をすべて予約時に自己負担すると記載されています。さらに「健康診断のあとに申請を拒否した場合、これらの費用は返金されません」と明記されています。予約時にご確認ください。
妊娠中でも検査を受けられますか?
英国の案内では3つの選択肢が示されています。妊娠中期・後期に追加の遮蔽をしたX線、喀痰検査、出産後まで待つ、です。喀痰検査については「追加の料金がかかる場合があり、結果まで最大8週間かかることがあります」と記載されています。証明書の有効期間が6か月であることと合わせて、スケジュールの設計が必要になります。個別の判断は医師にご相談ください。
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