数字から言います。アイルランドのワーキング・ホリデーの年間発給枠は800名です(外務省/令和8年4月1日現在)。
これは英語圏で圧倒的に少ない数字です。オーストラリアとニュージーランドは発給枠が「無」、カナダは6,283名、英国は6,000名。アイルランドだけが桁が違います。
そしてもう2つ、見落とされやすい事実があります。年齢要件が原則18歳以上25歳以下であること。そして日本人の参加は1回限りであること。
後者は特に注意が必要です。2025年以降、日本人が一生涯2回参加できるようになったのはカナダ・スロバキア・韓国・台湾です。アイルランドは含まれていません。制度改訂のニュースを見て「アイルランドも2回行ける」と誤解する人がいますが、2回になったのはアイルランド国籍の人が日本へ来る場合です。
論点は1つです。枠が800名しかない国に、あなたはどう備えますか。
この記事は、アイルランドのワーホリを検討している人に向けて書いています。
この記事を書いている立場:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、アイルランドには渡航していません。そのため現地の生活・仕事・家探しについての体験談は書きません。本記事は制度の情報を公的資料から整理したものです。
制度に関する数値は外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)にもとづきます。申請の時期・方法など外務省に記載のない事項は、民間の情報源によるものであることを本文中で明示します。
制度は変更されます。申請の可否・時期・要件は必ず駐日アイルランド大使館の公式情報で確認してください。本記事は法的助言ではありません。
結論:英語圏で最も枠が狭い国です
| 国 | 年間発給枠 | 制度開始 |
|---|---|---|
| オーストラリア | 無(枠の定めなし) | 1980年 |
| ニュージーランド | 無(枠の定めなし) | 1985年 |
| カナダ | 6,283名 | 1986年 |
| 英国 | 6,000名 | 2001年 |
| アイルランド | 800名 | 2007年 |
英語圏の主要5か国のうち、豪州とニュージーランドには枠がありません。要件を満たせば申請できます。カナダと英国は枠がありますが、いずれも6,000名台です。
アイルランドの800名は、カナダのおよそ8分の1です。つまり「行けるかどうか」自体が不確実な、英語圏で唯一の国と言えます。
だから計画の立て方が変わります。枠のない国なら「行く前提」で準備できますが、アイルランドは「行けなかった場合」を同時に用意しておく必要があります。
出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)。32か国・地域の一覧は協定国32ヶ国の記事で扱っています。
年齢要件は「原則25歳以下」です
外務省の記載では、査証申請時の年齢は18歳以上30歳以下が原則ですが、オーストラリア、カナダ、韓国及びアイルランドとの間では18歳以上25歳以下とされています。ただし「各々の政府当局が認める場合は30歳以下まで申請可能」とも記載されています。
つまり「30歳まで大丈夫」と単純に考えないでください。制度上の原則は25歳以下であり、それを超える場合の扱いは当局の判断によります。
やること:26歳以上の方は、申請前に必ず駐日アイルランド大使館の公式情報で、自分の年齢で申請できるかを確認してください。民間サイトの「30歳まで」という記載だけで判断しないでください。
出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)。
日本人の参加は1回限りです
2024年12月以降、複数の国との間で参加回数の見直しが行われました。ここで混同が起きやすいので、方向を分けて整理します。
- 日本人が相手国で2回参加できるようになった国:カナダ、スロバキア、韓国、台湾(英国は2008年から最長2年間の滞在が認められています)
- 相手国の人が日本で2回参加できるようになった国・地域:ニュージーランド、デンマーク、オーストリア、ドイツ、アイルランド、スロバキア、韓国、台湾
だから、1回きりの前提で計画してください。「まず短く行って、合えばもう一度」という設計は、この国では成立しません。
出典:外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)。
申請は抽選制とされています
外務省の資料には、申請時期や選考方法の記載はありません。以下は民間の留学情報サイトが公開している内容であり、一次情報ではありません。
複数の民間サイトによれば、アイルランドのワーキング・ホリデーは抽選による選考で、年に2回の申請期間が設けられているとされます。2026年については1月中旬〜2月上旬と、7月中旬〜7月下旬という時期が示されています。また申請書はメールで提出し、郵送は受け付けられないとの記載も見られます。
これらは変更される可能性が高い情報です。年度によって時期も方式も変わり得るため、駐日アイルランド大使館の公式ページで、その年の募集要項を必ず確認してください。
そして外務省は次のように注意喚起しています。査証の申請代行をうたう業者による書類の不適正処理に関するトラブルが報じられているため、代行業者を使う場合でも書類の準備を任せきりにせず、必ず自身で公式情報を確認するように、と。
結果が出るまで渡航が確定しないため、先に費用をかける準備は危険です。
結果が出る前にやること:①申請の要件を満たしているかの確認 ②必要書類の準備 ③資金の確保。
結果が出てからにすること:①航空券の購入 ②語学学校の申し込み ③退職の意思表示 ④住居の解約。
③と④の順番を間違える人がいます。先に退職すると、落選した場合に無職の期間だけが残ります。結果を待ってから動いてください。
落ちた場合の選択肢を、先に決めておく
| 代替 | 枠 | 切り替えの現実性 |
|---|---|---|
| オーストラリア | 枠なし | 要件を満たせば申請できる |
| ニュージーランド | 枠なし | 同上 |
| カナダ | 6,283名 | 枠は大きいが選考の仕組みがある |
| 英国 | 6,000名 | 最長2年間の滞在が認められている |
| マルタ | 100名 | 2026年開始。枠はさらに小さい |
目的がアイルランドという国そのものなら、次の募集を待つ判断もあります。ただし年齢の上限が迫っている場合、待つこと自体がリスクになります。
だから申請前に決めてください。「落ちたらどうするか」を。結果を見てから考えると、その年の他国の準備にも間に合わないことがあります。
国ごとの比較は協定国32ヶ国の記事、費用の比較は費用の記事で扱っています。なお2026年からマルタとイタリアが加わりましたが、枠はそれぞれ100名と500名です。
どんな人に向くか
- 25歳以下である:原則の年齢要件に収まっている
- 時期を自分で選べる:抽選の結果に合わせて動ける
- 落選しても代替を選べる:他の英語圏でも目的が果たせる
- 1回で完結する計画がある:再挑戦の前提がない
③に当てはまるなら、枠のない国のほうが計画は立てやすい。これは優劣ではなく、制度の性質の違いです。
就労についての注意
相手国・地域によって就業職種や同一雇用主の下での雇用期間などに制限がある場合があるとされ、詳細は駐日外国公館へ問い合わせるよう案内されています。アイルランドについても、制限の有無は大使館で確認してください。
そして重要な注意喚起があります。外務省は、ワーキング・ホリデー制度を利用して渡航した人から「不当に安い賃金で働かされた」「雇用主等からセクハラやパワハラを受けた」という情報が寄せられていると記載し、現地の労働法規を含めて前もって十分に情報収集することを勧めています。
これは国を問わない論点です。職場のトラブルへの備えは労働者の権利の記事で扱っています。制度上の権利を知らないと、不当な扱いに気づけません。
運営者の視点:枠が狭いことは、必ずしも欠点ではありません
運営者はアイルランドに行っていません。だから街の雰囲気も、仕事の探しやすさも語れません。語れるのは数字から読めることだけです。
800名という枠を見て、まず思うのは「日本人が少ない環境になり得る」ということです。カナダのバンクーバーで運営者が直面したのは、日本人が多すぎて英語を使わずに生活できてしまうという問題でした。実際、それで英語が伸びずに帰る人を見ています。
枠が800名なら、その状況は起きにくい。これは制度の副作用として、英語環境を求める人には有利に働く可能性があります。ただし裏返せば、日本語で相談できる相手も少ないということです。孤独への耐性は必要になります。
そしてもう1つ。抽選という仕組みは、判断を先延ばしにしにくくします。枠のない国は「いつでも行ける」ため、結果として何年も行かない人がいます。年2回しか申請できない国は、応募するかどうかを期日までに決めなければなりません。
だから、迷っている人にはむしろ向いている面があると考えています。締切があると、決められるからです。落ちたときの代替さえ決めておけば、応募すること自体に失うものはありません。
よくある失敗
失敗①:「30歳まで行ける」と思い込む
外務省の記載では原則18〜25歳です。26歳以上は必ず大使館で確認してください。
失敗②:「2回行ける」と誤解する
2回になったのはアイルランド国籍の方が日本へ来る場合です。日本人は1回限りの前提で計画してください。
失敗③:結果が出る前に退職する
落選した場合、無職の期間だけが残ります。退職と住居の解約は結果を待ってから。
失敗④:落ちた場合を決めずに応募する
結果を見てから考えると、その年の他国の準備にも間に合わないことがあります。
失敗⑤:民間サイトの日程だけで判断する
申請時期と方式は年度によって変わり得ます。大使館の公式ページで確認してください。
失敗⑥:代行業者に任せきりにする
外務省が書類の不適正処理について注意喚起しています。自身で公式情報を確認してください。
今日からできる3つのこと
- ①駐日アイルランド大使館の公式ページを開く:その年の募集要項が唯一の正解です
- ②自分の年齢で申請できるかを確認する:原則は25歳以下です
- ③落選した場合の代替国を1つ決める:応募前に決めておいてください
アイルランドは、英語圏で唯一「行けるかどうかが不確実な国」です。枠が800名しかなく、抽選とされているためです。
だから準備の順番が変わります。費用のかかる手続きは結果が出てから。落ちた場合の代替は応募前に。この2つを守れば、応募すること自体にリスクはほとんどありません。
本記事の制度に関する数値は外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)にもとづきます。申請時期・選考方法・提出方法については外務省に記載がないため、民間の情報源によるものであることを本文中に明示しています。これらは一次情報ではなく、年度によって変更されます。制度・要件・定員は変更されるため、申請にあたっては必ず駐日アイルランド大使館の公式情報を確認してください。本記事は法的助言ではありません。個別の判断については、大使館または専門家にご相談ください。運営者はアイルランドに渡航しておらず、現地の生活に関する体験談は含んでいません。
よくある質問
アイルランドのワーホリの定員は何名ですか?
外務省の資料では年間発給枠は800名です(令和8年4月1日現在)。これは英語圏では極端に少ない数字で、オーストラリアとニュージーランドには発給枠の定めがなく、カナダは6,283名、英国は6,000名です。つまりアイルランドはカナダのおよそ8分の1で、英語圏で唯一「行けるかどうか自体が不確実な国」と言えます。そのため、枠のない国のように「行く前提」で準備するのではなく、行けなかった場合を同時に用意しておく必要があります。
年齢は30歳まで申請できますか?
単純にそうとは言えません。外務省の記載では申請時の年齢は18歳以上30歳以下が原則ですが、オーストラリア、カナダ、韓国およびアイルランドとの間では18歳以上25歳以下とされており、各政府当局が認める場合は30歳以下まで申請可能とされています。つまり制度上の原則は25歳以下で、それを超える場合の扱いは当局の判断によります。26歳以上の方は民間サイトの「30歳まで」という記載だけで判断せず、申請前に必ず駐日アイルランド大使館の公式情報で確認してください。
アイルランドのワーホリは2回参加できるようになったのですか?
日本人については変わっていません。ここは混同が起きやすい点です。2024年12月以降の制度改訂で、日本人が相手国で2回参加できるようになったのはカナダ、スロバキア、韓国、台湾です。一方アイルランドが含まれているのは、相手国の人が日本で2回参加できるようになった側の一覧です。つまりアイルランド国籍の方が日本へ2回来られるようになったのであって、日本人がアイルランドへ2回行けるようになったわけではありません。1回きりの前提で計画してください。
申請はいつ、どのように行いますか?
外務省の資料には申請時期や選考方法の記載がないため、ここからは民間の情報源による内容であり一次情報ではないことをお断りします。複数の民間サイトによれば、選考は抽選で、年に2回の申請期間が設けられているとされ、2026年については1月中旬から2月上旬と、7月中旬から7月下旬という時期が示されています。申請書はメールで提出し郵送は受け付けられないとの記載も見られます。これらは年度によって変更され得るため、必ず駐日アイルランド大使館の公式ページでその年の募集要項を確認してください。
抽選に落ちた場合はどうすればいいですか?
応募する前に代替を決めておいてください。結果を見てから考えると、その年の他国の準備にも間に合わないことがあります。「英語圏で1年働きたい」が目的なら、発給枠の定めがないオーストラリアやニュージーランド、枠の大きいカナダや英国という選択肢があります。目的がアイルランドという国そのものなら次の募集を待つ判断もありますが、年齢の上限が迫っている場合は待つこと自体がリスクになります。
準備はどの順番で進めるべきですか?
結果が出るまで渡航が確定しないため、先に費用をかける準備は避けてください。結果が出る前にやるのは、要件を満たしているかの確認、必要書類の準備、資金の確保です。結果が出てからにするのは、航空券の購入、語学学校の申し込み、退職の意思表示、住居の解約です。とくに退職と住居の解約を先に行うと、落選した場合に無職の期間だけが残ります。なお外務省は、査証の申請代行をうたう業者による書類の不適正処理のトラブルについて注意喚起しており、代行業者を使う場合でも書類の準備を任せきりにせず自身で公式情報を確認するよう促しています。
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