クイーンズランド州のダイビング規制|事業者に求められる7項目と、あなたの言語の話

ケアンズのダイビング|日本語説明が規範に入る事業者の選び方

日本語で説明してもらうことは、わがままではありません。

クイーンズランド州の労働安全当局(WorkSafe Queensland)が公開している「レクリエーショナル・ダイビング、レクリエーショナル・テクニカルダイビングおよびシュノーケリング実施規範2024」には、事業者への具体的助言を与える項目が並んでいます。そのなかに、こう書かれた項目があります。

「英語以外の言語を話す人々に対する指導と助言(instruction and advice to people who speak a language other than English)」。

つまり、あなたが日本語話者であることは、制度が最初から想定している条件です。「英語が不安だから説明が分からなかった」——これは自己責任の話ではなく、規範が扱っている論点だということです。

そして州の規則は、事業者に7つのことを要求しています。そのうち1つ目は「船に乗っているすべての人を数えること」です。

論点は1つです。あなたが乗る船は、これらを満たしていますか。

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この記事を書いている立場:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、オーストラリアには渡航しておらず、スクーバダイビングの経験もありません。そのため体験談や技術的な助言は書きません。本記事は規制の枠組みを公的資料から整理したものです。
出典はWorkSafe Queensland(クイーンズランド州労働安全衛生局)「Diving, snorkelling and recreational water activities laws」(2025年3月7日更新/2026年8月時点で確認)です。根拠法はSafety in Recreational Water Activities Act 2011およびSafety in Recreational Water Activities Regulation 2024、実施規範はRecreational Diving, Recreational Technical Diving and Snorkelling Code of Practice 2024です。
重要:本記事はクイーンズランド州の制度です。オーストラリアは州ごとに制度が異なります。また本記事では、ダイビングライセンス(Cカード)の講習料金・日数・取得要件、健康状態の適否、事業者の選定については判断を示しません。スクーバダイビングには死亡・重傷のリスクが伴います。本記事は安全を保証するものではありません。

結論:規則が事業者に求める7項目

SRWA規則が要求すること
船に乗っているすべての人を数えること
エントリーレベルの認定ダイバーと非認定ダイバーが医療申告書を記入すること
エントリーレベルの認定ダイバーが、必要な場合に医療証明書を提出すること
シュノーケラーに、安全に潜る能力へ影響し得る医学的状態について助言すること
見張り(およびシュノーケラー用のガイド)、救助者、応急処置設備を提供すること
非認定ダイバーを適切に監督すること
ダイブ安全記録(dive safety log)を保管すること

これは「推奨」ではなく「規則が要求すること」です

WorkSafe Queenslandは、Safety in Recreational Water Activities Regulation 2024(SRWA規則)について「レクリエーショナル・ダイビングおよびレクリエーショナル・シュノーケリング活動において、負傷・疾病・死亡を引き起こし得る特定の危険を防止または管理するために何がなされなければならないかを記述している」としています。

そして事業者(PCBU=事業を行う者)には、法令上の義務があります。WorkSafe Queenslandは「ダイブ事業者などのPCBUおよび労働者などの義務保持者は、法令に含まれる義務を遵守しなければならない」と記載しています。

利用者側から見ると、これは「サービスの質」ではなく「法令遵守」の問題だということです。

なお実施規範(Code of Practice)については、WorkSafe Queenslandは「法令上の義務をどう果たすかについて実務的な助言を提供する」ものとし、「同等以上の保護を与えるのであれば、事業に適した他の手法を採用してもよい」としています。規範そのものは唯一の方法を強制するものではない、という位置づけです。

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「あなたの言語での説明」は、規範の項目です

ここが本記事でいちばん伝えたい点です

実施規範が具体的助言を与える項目として、WorkSafe Queenslandは次を列挙しています。船上の全員のカウント、緊急計画・救助・応急処置・酸素の提供、リスクアセスメント、医学的適性、ダイバーとシュノーケラーの監督、シュノーケラーへの助言、ダイバーの技能と知識、英語以外の言語を話す人々に対する指導と助言、必要な装備、減圧管理、ダイブログ、そして危険とハザード。

「英語以外の言語を話す人々に対する指導と助言」が、独立した項目として挙げられています。

これは重い意味を持ちます。グレートバリアリーフには世界中から人が来ます。そして安全説明が理解できないまま海に入ることが、実際のリスクとして認識されているということです。

だから利用者としてこう考えてください。「英語が不安だから、なんとなくうなずいておく」——これは規範が防ごうとしている状態そのものです。

やること:分からなければ、その場で言う。「日本語の資料はありますか」「もう一度説明してもらえますか」。これは特別な要求ではありません。予約の段階で「日本語での説明に対応しているか」を確認しておくと、当日の負担が減ります。

本記事では、どの事業者が日本語対応しているかは扱いません。ただし制度としてその論点が存在することは、知っておく価値があります。

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「船の上で全員を数える」という規定

規則の要求項目の1つ目です
SRWA規則が要求することの筆頭に、「船に乗っているすべての人が数えられること(All persons aboard the boat are counted)」が挙げられています。
そして実施規範でも「船舶上のすべての人について行われるカウント」が、助言項目の1つとして独立して挙げられています。
ダイビングにおいて、人数の確認がここまで明示的に規定されているのはなぜか。本記事では背景を断定しません。ただし、規則の筆頭に置かれ、規範でも独立項目になっているという事実は、それだけ重視されているということです。
利用者としてできること:船に戻ったとき、スタッフが人数を確認しているかを見てください。点呼、名簿、タグの返却。方法は事業者によって違いますが、何らかの確認が行われているはずです。
そして自分の側でも、バディ(ペアの相手)と一緒に戻る。これは規則の話ではなく、当たり前の自衛です。
なお職業ダイビング(occupational diving)の規則でも「出発前に船上の人を数える」ことが要求されています。レクリエーションでも職業でも、共通して置かれている項目です。
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医療申告書と、医療証明書は別のものです

2段階になっています

SRWA規則が要求する項目のうち、②と③は似ていますが別のものです。 申告書は自分で書くもの、証明書は医師が出すものです。申告の内容によっては、医師の診断が必要になる——という段階構造だと読めます。
そしてシュノーケリングにも規定があります。④として「シュノーケラーは、安全にシュノーケリングする能力に影響し得る医学的状態について助言を与えられること」が挙げられています。シュノーケリングだから何もない、ということはありません。
やること:申告書は正直に書いてください。本記事では、どの既往症が該当するかの判断を示しません。医療的な判断であり、確認できる一次情報がないためです。持病がある場合、常用薬がある場合は、渡航前に医師に相談しておくと当日慌てません。
なおWorkSafe Queenslandは「レクリエーショナル・ダイビング医療スクリーニングシステム」に関する情報ページも設けています。制度として仕組みが用意されている領域です。 あわせて読みたいワーホリの盗難・詐欺|書面と記録で自分を守る方法ワーホリ中の盗難・詐欺・金銭トラブルの防ぎ方と対処法。運営者のカナダ12ヶ月で実際に起きた事例(友人のクレジットカード盗

見張り、救助者、応急処置、そして酸素

船に何が備わっているべきか

SRWA規則の⑤は「見張り(lookouts)、およびシュノーケラー用のガイド、救助者、応急処置設備が提供されること」を求めています。

そして実施規範の助言項目には、より具体的に「緊急計画、救助、応急処置、そして酸素の提供(emergency plans, rescue, first aid and oxygen provision)」が挙げられています。

酸素が名指しで挙げられているのが特徴です。ダイビング事故における応急処置として、酸素投与が重要な位置を占めるためと考えられます。ただし本記事では医学的な説明に立ち入りません。

利用者としてできること:船に酸素があるか、スタッフに聞いてみる。これは失礼な質問ではありません。規範が挙げている項目だからです。

そして⑥「非認定ダイバーは適切に監督されること」。体験ダイビング(非認定ダイバー)の場合、インストラクターが何人の参加者を見るのかを確認してください。本記事では具体的な人数比を示しません。実施規範の原文および事業者に確認してください。

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予約前に確認できる、5つのこと

規範の項目から逆算したチェックリストです

⑤が最重要です。海外旅行保険ではスクーバダイビングが補償対象外、または条件つきとされている場合があります。本記事では特定の商品について判断を示しません。参加を決める前に、約款の免責事項を開いてください。
①〜④は事業者に聞けば分かります。そして聞くこと自体が、判断材料になります。丁寧に答える事業者と、そうでない事業者。質問への対応は、安全文化の表れでもあります。
費用については別の記事で扱っています。ツアー代金には法定の環境管理チャージが含まれており、事業者には正しく表示する義務があります。 あわせて読みたいワーホリの1ヶ月生活費|都市別の内訳と生活費の抑え方ワーホリの1ヶ月生活費を都市別のリアルな内訳で比較。バンクーバー・トロント・シドニー・メルボルンの家賃・食費・交通・通信

州が違えば、制度も違います

本記事はクイーンズランド州の話です
本記事で扱ったSafety in Recreational Water Activities Act 2011、同Regulation 2024、そして実施規範2024は、いずれもクイーンズランド州の法令・規範です。
オーストラリアは州ごとに制度が異なります。西オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、タスマニア州などで潜る場合、適用される枠組みは別のものになります。本記事では他州を扱っていません。
これは当サイトが繰り返し確認してきた構造でもあります。釣り料金も、最低賃金も、州によって扱いが変わりました。「オーストラリアでは」という一般化が成り立たない国だということです。
そしてWorkSafe Queenslandは、事業者向けに「レクリエーショナル・ダイビングおよびシュノーケリング遵守チェックリスト」も公開しています。事業者が自己点検するための文書です。制度として、確認の仕組みが用意されている領域だと分かります。

運営者の視点:規範の項目名に、事故の記録を感じます

潜ったことがないので、資料の読み方だけを言います

運営者はスクーバダイビングをしたことがありません。だから水中の感覚も、耳抜きの難しさも語れません。語れるのは、公開されている規制から読めることだけです。

そのうえで、いちばん考えさせられたのは項目の並びです。「船上の全員のカウント」が規則の筆頭にあり、規範でも独立した項目になっている。人数を数えるという、ごく単純なことが、これだけ明示的に規定されている。

そして「英語以外の言語を話す人への指導と助言」。これも独立項目です。言葉が通じないまま海に入ることが、リスクとして正面から扱われている。

ルールの細かさは、たいてい過去の記録です。これはスカイダイビングの記事でも書いたことですが、ここでも同じ印象を持ちました。誰かが数えられなかった。誰かが説明を理解できなかった。だから項目になった——そう読むのが自然だと思います。

だから利用者として言えることは1つです。説明が分からなかったら、その場で言ってください。「英語が不安で聞き返せなかった」は、制度が想定して防ごうとしている状態です。遠慮する場面ではありません。

運営者はカナダの山で、その場のルールを深く調べずに過ごしました。問題が起きなかったのは運です。水の中は、山よりもやり直しがききません。

入域料や許可の仕組みは、国立公園や保護区ごとに別々に決められています。知らずに入ると罰金の対象になる区域があります。

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よくある失敗

失敗①:英語の説明を、分からないままうなずく

規範には「英語以外の言語を話す人への指導と助言」という項目があります。聞き返してください。

失敗②:シュノーケリングなら何もないと思う

規則はシュノーケラーへの医学的状態に関する助言を求めています。

失敗③:医療申告書を軽く書く

申告書と医療証明書は別の段階です。持病がある場合は渡航前に医師へ相談を。

失敗④:船に戻ったあとの人数確認を気にしない

規則の筆頭に「全員を数える」が置かれています。自分でもバディと戻ってください。

失敗⑤:質問を遠慮する

救助体制、応急処置、酸素——いずれも規範が挙げる項目です。聞いて構いません。

失敗⑥:保険を確認しない

スクーバダイビングは補償対象外とされることが多い活動です。約款を開いてください。

今日からできる3つのこと

クイーンズランド州では、レクリエーショナル・ダイビングとシュノーケリングに州法・州規則・実施規範という3層の枠組みがあります。事業者には7つの要求事項が課され、実施規範はさらに細かい助言を与えています。

そのなかに「英語以外の言語を話す人への指導と助言」という項目があります。あなたが日本語話者であることは、制度が最初から想定している条件です。

だから、分からなければ聞いてください。それは特別な要求ではなく、規範が守ろうとしているものそのものです。

本記事はWorkSafe Queensland(クイーンズランド州労働安全衛生局)「Diving, snorkelling and recreational water activities laws」(2025年3月7日更新/2026年8月時点で確認)にもとづきます。根拠法はSafety in Recreational Water Activities Act 2011およびSafety in Recreational Water Activities Regulation 2024、実施規範はRecreational Diving, Recreational Technical Diving and Snorkelling Code of Practice 2024です。本記事はクイーンズランド州の制度であり、オーストラリアの他の州・準州については扱っていません。またダイビングライセンス(Cカード)の講習料金・必要日数・取得要件、健康状態の適否、既往症や服用薬が参加可否に与える影響、監督者と参加者の人数比、装備の詳細、減圧に関する事項、特定の事業者の評価については、本記事では扱っておらず判断も示していません。実施規範の全文および各要求事項の詳細は、必ずWorkSafe Queenslandの公式資料でご確認ください。スクーバダイビングおよびシュノーケリングには、減圧症、溺水、既往症に起因する事故など、死亡または重傷にいたる危険が伴います。本記事は技術指導や安全対策の具体的方法を扱っておらず、安全を保証するものでも、参加を勧めるものでもありません。参加にあたっては、健康状態について不安がある場合や常用薬がある場合は必ず事前に医師にご相談ください。また海外旅行保険がスクーバダイビングを補償対象としているかを、参加を決める前に必ずご確認ください。補償対象外または条件つきとなっている場合があります。法令・規範は改正されます。本記事は法的助言・医学的助言ではありません。

よくある質問

ケアンズでダイビングするとき、事業者にはどんな義務がありますか?

クイーンズランド州のSafety in Recreational Water Activities Regulation 2024は、事業者に7つのことを要求しています。船に乗っているすべての人を数えること、エントリーレベルの認定ダイバーと非認定ダイバーが医療申告書を記入すること、エントリーレベルの認定ダイバーが必要な場合に医療証明書を提出すること、シュノーケラーに安全に潜る能力へ影響し得る医学的状態について助言すること、見張り(およびシュノーケラー用のガイド)・救助者・応急処置設備を提供すること、非認定ダイバーを適切に監督すること、ダイブ安全記録を保管することです。WorkSafe Queenslandは、ダイブ事業者などのPCBUは法令に含まれる義務を遵守しなければならないとしています。

英語の説明が分からないときはどうすればいいですか?

その場で聞き返してください。クイーンズランド州の実施規範2024が事業者に具体的助言を与える項目のなかに、「英語以外の言語を話す人々に対する指導と助言」が独立した項目として挙げられています。つまり日本語話者であることは、制度が最初から想定している条件です。安全説明が理解できないまま海に入ることは、規範が防ごうとしている状態そのものといえます。予約の段階で「日本語での説明に対応しているか」を確認しておくと、当日の負担が減ります。なお本記事では、どの事業者が日本語対応しているかは扱っていません。

船で人数を数えるのはなぜですか?

SRWA規則が要求する項目の筆頭に「船に乗っているすべての人が数えられること」が置かれており、実施規範でも「船舶上のすべての人について行われるカウント」が独立した助言項目になっています。本記事では規定が置かれた背景を断定していませんが、規則の筆頭に置かれ規範でも独立項目になっているという事実は、それだけ重視されているということです。なお職業ダイビングの規則でも「出発前に船上の人を数える」ことが要求されており、レクリエーションでも職業でも共通して置かれています。利用者としては、船に戻ったときにスタッフが人数を確認しているかを見ておくとよいでしょう。

医療申告書と医療証明書は何が違いますか?

申告書は自分で書くもの、証明書は医師が出すものです。SRWA規則では、エントリーレベルの認定ダイバーと非認定ダイバーが医療申告書(medical declaration)を記入すること、そしてエントリーレベルの認定ダイバーが必要な場合に医療証明書(medical certificate)を提出することが、別の項目として要求されています。申告の内容によっては医師の診断が必要になるという段階構造だと読めます。なおシュノーケラーについても、安全にシュノーケリングする能力に影響し得る医学的状態について助言が与えられることが求められています。持病や常用薬がある場合は、渡航前に医師に相談しておくと当日慌てません。

体験ダイビングでも監督はありますか?

規則で求められています。SRWA規則は「非認定ダイバーは適切に監督されること」を要求しており、実施規範でも「ダイバーとシュノーケラーの監督」が助言項目として挙げられています。ただし本記事では、監督者と参加者の具体的な人数比については扱っていません。実施規範の原文および事業者にご確認ください。あわせて規範には「緊急計画、救助、応急処置、そして酸素の提供」という項目もあり、船に酸素があるかを事業者に確認することは、規範が挙げている項目についての質問なので失礼にはあたりません。

他の州でも同じルールですか?

違います。本記事で扱ったSafety in Recreational Water Activities Act 2011、同Regulation 2024、実施規範2024は、いずれもクイーンズランド州の法令・規範です。オーストラリアは州ごとに制度が異なるため、西オーストラリア州、ニューサウスウェールズ州、タスマニア州などで潜る場合は別の枠組みが適用されます。本記事では他州を扱っていません。これは釣り料金や最低賃金でも同じ構造で、「オーストラリアでは」という一般化が成り立たない国だといえます。

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