イギリスの銀行口座|2025年12月に上がった預金保護と、ベーシック口座の提供義務

イギリスの銀行口座|断られたときの理由の聞き方と預金保護

英国の預金保護の金額が、2025年12月1日に変わりました。

FSCS(金融サービス補償機構)は、こう案内しています。「2017年1月1日から2025年11月30日まで、預金補償の限度額は85,000ポンドでした。2025年12月1日にFSCSの預金保護は120,000ポンドに引き上げられました」。

£85,000から£120,000へ。日本語で「英国の預金保護は8万5千ポンドまで」と書かれた情報を見かけたら、それは変更前のものです。

そしてもうひとつ。英国には、銀行が口座の提供を断りにくくする仕組みがあります。MoneyHelper(Money and Pensions Service)によれば、英国の9行は、一定の条件を満たす場合にベーシック銀行口座を提供しなければならないとされています。

口座が作れるかどうかは、ワーホリの最初の壁になりがちです。この記事では、公的資料で確認できる範囲を整理します。

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先に、2つの数字です

項目公式に示されている内容
預金保護の限度額£120,000(2025年12月1日から。それ以前は£85,000)
保護の単位対象者1人につき、認可された金融機関1社ごと
一時的な高額残高最大£1,400,0006か月間
ベーシック銀行口座9行に提供義務(条件を満たす場合)
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預金保護:2025年12月に£120,000へ

いつ、いくらから、いくらになったか

FSCS(Financial Services Compensation Scheme/金融サービス補償機構)は、こう記載しています。「2017年1月1日から2025年11月30日まで、預金補償の限度額は85,000ポンドでした。2025年12月1日にFSCSの預金保護は120,000ポンドに引き上げられました」。

保護の中身も明示されています。「英国で認可された銀行、住宅金融組合(building society)またはクレジットユニオンに預金や貯蓄を保有していて、その機関が破綻した場合、FSCSは対象となる1人につき、認可された1社につき、新しい限度額である120,000ポンドまで補償することができます」。

「1人につき、1社につき」という単位が重要です。同じ銀行に複数の口座を持っていても、合算して1つの限度額として扱われる設計です。逆に、別々の認可機関に分ければ、それぞれに限度額が適用されるという読み方になります。

ワーキングホリデーの1年で£120,000(日本円でおおむね2,000万円超)を英国の口座に置く人は、多くはないはずです。ですがこの数字を知っておく意味は別のところにあります。「銀行が破綻したら預金はどうなるのか」という問いに、制度上の答えが用意されているということです。

一時的な高額残高には、別の枠があります

FSCSは、もうひとつの保護についても記載しています。「FSCSは、最大1,400,000ポンドまでの一時的な高額残高(temporary high balances)もカバーします。これは、住宅の売却や相続の受け取りといった、人生の大きな出来事によって発生することがあります。一時的な高額残高は、最大6か月間保護されます」。

通常の限度額の10倍を超える金額が、期間限定で保護されるということです。

これは「一時的に大きなお金が口座を通るとき」を想定した制度です。家を売った直後、相続を受けた直後——そうしたタイミングで銀行が破綻したら、通常の限度額では足りません。だから期間を区切って上限を引き上げています。

ワーホリで直接関係する場面は限られますが、制度の考え方として知っておく価値があります。金額の上限は「常に一律」ではなく、状況に応じて設計されているということです。

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ベーシック銀行口座:9行に提供義務があります

「作れない」で終わらせない仕組み
ワーキングホリデーで英国に着いたとき、多くの人がぶつかるのが銀行口座です。住所証明がない、給与明細がない、信用履歴がない——通常の当座預金口座(current account)の審査は、この状態では通りにくくなります。
そこで用意されているのが、ベーシック銀行口座(basic bank account)です。
MoneyHelperは「ベーシック銀行口座は、銀行の標準的な当座預金口座の資格がない場合に、通常は利用できます」としています。そして「英国の9行は、一定の条件が満たされる場合、ベーシック銀行口座を提供しなければなりません」と記載されています。
「提供しなければならない」——義務として書かれている点が重要です。銀行の裁量に完全に委ねられているわけではありません。
示されている条件は3つです。
  • 英国内に合法的に居住していること(legally resident within the UK)
  • 他の金融機関に別の銀行口座を持っていないこと
  • その機関において、ベーシック口座以外のいずれの口座の資格もないこと
開設の年齢は16歳以上(銀行によっては18歳以上)とされています。
2つ目の条件に注意してください。「他の金融機関に別の銀行口座を持っていないこと」。すでに英国の口座を持っている場合は、この枠の対象外になる可能性があります。
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断られたら、理由を聞く権利があります

これが実務でいちばん使える規定です

MoneyHelperは、こう記載しています。「身分または住所の証明を提供できない場合、銀行は新しい手数料無料のベーシック銀行口座の開設を断ることがあります。ただし、手数料無料のベーシック銀行口座の申請が却下された場合、あなたには理由を尋ねる権利があり、銀行または住宅金融組合はその理由を伝えるべきです」。

断られること自体はあり得る。ですが「なぜ断られたか」は聞ける。これが制度の設計です。

理由が分かれば、次の一手が決まります。住所証明が足りないのか、書類の種類が違うのか、条件のどれを満たしていないのか。「とりあえず別の銀行に行く」よりも、はるかに効率的です。

そして、書類についても救いのある記載があります。「ベーシック銀行口座の開設に受け入れられる書類の範囲は広い(a broad range of documents)」とされています。1つの書類で断られても、他の選択肢がある可能性があるということです。

開設の方法も複数あります。「ほとんどのベーシック口座は、オンライン、最寄りの支店での対面、電話、または郵送で開設でき、身分と住所の証明が必要になります」。

対面が難しければオンライン、オンラインで弾かれたら支店、という切り替えができるということです。

それでも難しい場合の選択肢

MoneyHelperには、書類が揃わない場合の代替も示されています。「正しい書類を入手できない場合、プリペイドカード口座を検討することもできます。銀行口座より機能は少なくなりますが、通常、身分証明は必要ありません」。

また、住所が定まらない人への配慮も記載されています。「ホームレスの状態にある場合、ベーシック銀行口座の開設について支援を受けられます。一部の銀行には住所が定まっていない人のための特別なスキームがあり、身分の確認を助けるために地元のホームレス支援団体と協働します」。

これはワーホリの直接の状況とは異なりますが、制度が「住所がない人」を想定していること自体に意味があります。住所証明は、越えられない壁として設計されているわけではありません。

本記事では、どの9行が対象なのか、受け入れられる具体的な書類の一覧、各行の申請手順については扱っていません。MoneyHelperおよび各金融機関の該当ページでご確認ください。

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他の国とは、どう違うか

「口座を作る」の難しさは国によって違います

英国の特徴は、口座開設のハードルが高い一方で、「提供義務」と「理由を聞く権利」という2つの仕組みで下支えされている点です。

カナダについてはこちらの記事、オーストラリアとニュージーランドについてはこちらの記事で扱っています。豪州とNZでは、税務番号を伝えないと利息から高い率で源泉徴収されるという論点があり、英国とは別の注意点になります。

そして英国では、口座と並行してNational Insurance番号の手続きも進むことになります。NINoがないまま働き始めると緊急税コードになり得るため、こちらも早めに動く価値があります。

渡航直後にやることは重なります。住居、口座、番号、SIM。そして多くの場合、これらは互いに前提になっています。住所がないと口座が作りにくく、口座がないと給与が受け取りにくい。

だから順番が問題になります。どれから手をつけるかは、ロンドンでの生活の記事でも触れています。

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帰国前に、もうひとつ

口座を閉じる順番
作る話をしてきましたが、閉じる順番も同じくらい重要です。
英国を離れるとき、口座を先に閉じてしまうと、後から入ってくるお金の受け取り先がなくなります。最後の給与、デポジットの返還、未消化の有給分、税の還付。これらは退去や退職の後に動くことがあります。
とくに英国のデポジットは、紛争解決の手続きに入ると時間がかかります。そして未消化の法定有給は、退職時に支払われるべきものとされています。
つまり「全部受け取ってから閉じる」が原則になります。
これは豪州でも同じ構造です。NSWのボンド返還は指定口座への振込であり、口座を閉じてしまうと詰まります。帰国前のお金のチェックリストで、順番を整理しています。
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渡航前後に確認する3つ

英国の預金保護は、2025年12月1日に£85,000から£120,000へ引き上げられました。対象となる1人につき、認可された金融機関1社につき、という単位です。一時的な高額残高については、最大£1,400,000が6か月間保護されるとされています。

そして口座開設については、9行にベーシック銀行口座の提供義務があるとされています。条件は、英国内に合法的に居住していること、他の金融機関に別の口座を持っていないこと、その機関で他の口座の資格がないこと。

断られる可能性はあります。ただし、理由を尋ねる権利があります。そして受け入れられる書類の範囲は広いとされています。

「作れなかった」で止まる前に、聞けることがある。それを知っているかどうかで、渡航直後の数週間が変わります。

この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、英国には渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものであり、現地での口座開設体験は含みません。
出典はFSCS(Financial Services Compensation Scheme/金融サービス補償機構)「What we cover」「Deposit limit protection increase」、およびMoneyHelper(Money and Pensions Service)「What is a basic bank account?」です(いずれも2026年8月時点で確認)。預金保護の限度額は2025年12月1日に85,000ポンドから120,000ポンドへ引き上げられています。それ以前の情報が残っている資料にご注意ください。
本記事では、提供義務の対象となる9行の具体名、受け入れられる書類の一覧、各金融機関の申請手順と審査基準、口座の種類ごとの機能の違い、手数料、非居住者の扱い、口座の解約手続き、プリペイドカード口座の具体的な商品については扱っておらず、判断も示していません。これらについてはMoneyHelperおよび各金融機関の公式ページでご確認ください。
また本記事は特定の金融機関や金融商品を推奨するものではありません。制度・限度額・条件は変更されます。口座開設や資金の管理に関する個別の判断は、ご自身の責任において行ってください。本記事は金融助言ではありません。

お金まわりは、日本にいる間にしかできない手続きが混ざっています。カードの発行には審査があり、口座の開設には書類が要ります。渡航後に気づくと、選択肢が減ります。

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送金の手数料は、1回あたりの額より「何回送るか」で総額が決まります。実際の画面と手順は別記事で扱っています。

Wiseの使い方|ワーホリの送金・両替・受取

現金を多めに持っていく場合
持ち込める金額に上限はありませんが、一定額を超えると税関への申告が必要です。日本は100万円相当額を「超える」場合、豪州・カナダ・NZ・英国はいずれも10,000(各国通貨)「以上」で、境界の扱いが違います。申告漏れは差押えや罰金の対象になります。現金の申告基準(5か国比較)で整理しました。

よくある質問

英国の預金保護はいくらまでですか?

FSCS(金融サービス補償機構)によれば、2025年12月1日から120,000ポンドです。それ以前、2017年1月1日から2025年11月30日までは85,000ポンドでした。日本語で「8万5千ポンドまで」と書かれた情報は、変更前のものである可能性があります。保護の単位は「対象となる1人につき、認可された1社につき」とされており、同じ銀行に複数の口座を持っていても合算して1つの限度額として扱われる設計です。またFSCSは、住宅の売却や相続の受け取りといった人生の大きな出来事によって生じる「一時的な高額残高」について、最大1,400,000ポンドを最大6か月間カバーするとしています。

ワーホリでも英国の銀行口座は作れますか?

MoneyHelper(Money and Pensions Service)によれば、通常の当座預金口座の資格がない場合に利用できる「ベーシック銀行口座」という選択肢があります。そして「英国の9行は、一定の条件が満たされる場合、ベーシック銀行口座を提供しなければなりません」とされています。示されている条件は、英国内に合法的に居住していること、他の金融機関に別の銀行口座を持っていないこと、その機関においてベーシック口座以外のいずれの口座の資格もないことの3つです。開設は16歳以上(銀行によっては18歳以上)とされています。ただし対象となる9行の具体名や各行の審査基準については本記事では扱っていません。

住所証明がなくて断られたらどうすればいいですか?

MoneyHelperは「身分または住所の証明を提供できない場合、銀行は口座の開設を断ることがあります。ただし、手数料無料のベーシック銀行口座の申請が却下された場合、あなたには理由を尋ねる権利があり、銀行または住宅金融組合はその理由を伝えるべきです」と記載しています。断られること自体はあり得ますが、理由は聞けるということです。理由が分かれば次の一手が決まります。また「ベーシック銀行口座の開設に受け入れられる書類の範囲は広い」ともされており、1つの書類で断られても他の選択肢がある可能性があります。開設方法もオンライン、支店での対面、電話、郵送と複数あるとされています。

どうしても口座が作れない場合の代替はありますか?

MoneyHelperは「正しい書類を入手できない場合、プリペイドカード口座を検討することもできます。銀行口座より機能は少なくなりますが、通常、身分証明は必要ありません」としています。また住所が定まらない人への配慮も記載されており、「一部の銀行には住所が定まっていない人のための特別なスキームがあり、身分の確認を助けるために地元のホームレス支援団体と協働します」とされています。ワーホリの状況とは異なりますが、制度が「住所がない人」を想定していること自体に意味があります。住所証明は越えられない壁として設計されているわけではありません。なお具体的なプリペイドカード商品については本記事では扱っていません。

他の国と比べて英国の口座開設は難しいですか?

英国の特徴は、口座開設のハードルがある一方で、「9行への提供義務」と「断られたら理由を聞く権利」という2つの仕組みで下支えされている点です。難易度そのものの比較は個別の状況によるため本記事では示しませんが、注意すべき論点は国によって異なります。たとえばオーストラリアとニュージーランドでは、税務番号を伝えないと利息から高い率で源泉徴収されるという別の論点があります。英国では口座と並行してNational Insurance番号の手続きも進むことになり、NINoがないまま働き始めると緊急税コードになり得るため、こちらも早めに動く価値があります。

帰国するとき、口座はいつ閉じればいいですか?

受け取るべきお金がすべて入ってから閉じるのが原則です。英国を離れる際、口座を先に閉じてしまうと、後から入ってくるお金の受け取り先がなくなります。具体的には最後の給与、デポジットの返還、未消化の法定有給分の支払い、税の還付などが、退去や退職の後に動くことがあります。とくにデポジットは紛争解決の手続きに入ると時間がかかります。また英国では未消化の法定有給は退職時に支払われるべきものとされており、重大な非行で解雇された場合であっても支払わなければならないと明記されています。同じ構造は豪州にもあり、NSWのボンド返還は指定口座への振込であるため、口座を閉じると詰まります。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。