豪州NSWのレンタルボンド|預け先は州機関、返還請求はテナントから

シドニーのボンド返還|州が預かる仕組みと請求のしかた

シドニーで部屋を借りるとき払うボンド(敷金)は、大家の口座にも、不動産業者の口座にも入りません。

NSW Fair Tradingはこう記載しています。「レンタルボンドとは、テナントが大家または業者に支払い、NSW Fair Tradingが担保として保持する金銭です」。

州の機関が、直接持っている。これが出発点です。

そしてもうひとつ、知っておくと退去時の動き方が変わる記載があります。「大家がボンドを解放するのを待つ必要はありません。もともとオンラインでボンドを提出しており、テナンシー終了後にやるべきことをすべて済ませているなら、Rental Bonds Onlineでボンドを請求できます」。

返還は、大家が動くのを待つ手続きではありません。あなたから始められます。

この記事では、公式資料で確認できる期限と手順を整理します。

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先に、時間の全体像です

期限何が起きるか
2営業日請求が受理された後、指定口座に振り込まれる
7日以内大家が同意なく請求する場合、証拠書類をテナントに渡す
14日大家が請求を受け入れる期間/テナントが通知に応答する期間
14日以内大家が争う場合、NCAT(審判所)に申し立てる
6か月以内支払い後でも審判所に持ち込める期間

14日が3回出てきます

NSWのボンド制度では、14日という数字が繰り返し現れます。大家が請求を受け入れるまでの期間、テナントが通知に応答する期間、そして大家が審判所に申し立てる期限。すべて14日です。

つまり退去してから2週間が、この制度の基本単位です。この間に連絡が取れる状態でいることが、実務上いちばん重要になります。帰国のフライトを退去の翌日に取ってしまうと、この14日を海外で過ごすことになります。

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退去前に済ませる6つ

NSW Fair Tradingが挙げている項目です

「次のことを確実に済ませてください」として、6項目が列挙されています。 「元の状態に合わせて」という表現に注目してください。基準は「きれいかどうか」ではなく、「入居時と比べてどうか」です。だから入居時のコンディションレポートが決定的な意味を持ちます。
そして「通常の損耗」という概念が制度に組み込まれています。使えば古くなるものと、壊したものは別だという前提です。本記事では、何が通常の損耗に当たり何が損傷に当たるかについては扱いません。NSW Fair Tradingに個別の解説ページがあります。
この6つを済ませたうえで、Rental Bonds Onlineから返還請求ができます。「大家または業者は、あなたの請求を受け入れるまでに最大14日あります」とされています。 あわせて読みたいNSWの釣り料金|釣具を持つだけで対象になる条件と払い方NSW州政府によれば釣り料金は3日7ドル、1か月14ドル、1年35ドル。居住者と非居住者の区別はありません。ただし対象は

入金は2営業日です

手続きが終われば、速い

NSW Fair Tradingは「Rental Bonds Onlineを使っていて、すべての情報が正しければ、大家または業者があなたの請求を受け入れてから2営業日でボンドが戻るはずです」と記載しています。

支払いは指定した銀行口座への直接振込です。

だから銀行口座情報が最新であることが前提になります。NSW Fair Tradingも「銀行口座の詳細が最新であることを確認してください」と注意を書いています。

これはワーホリで帰国する人には効いてくる話です。豪州の銀行口座を閉じてから請求すると、振込先がありません。順序としては、ボンドが戻ってから口座を閉じる、になります。

RBOのアカウントを持っていない場合は、紙の「Claim for Bond Refund」フォームでも請求できます。この場合、大家または業者が署名しなくても提出でき、相手には14日の異議申立期間が与えられます。そして「大家または業者が異議を申し立てなければ、Fair Tradingは14日後にあなたの請求を支払います」とされています。

署名をもらえないから手続きが止まる、という構造にはなっていません。

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大家が請求する場合、7日以内に証拠が要ります

出さないことが法律違反になります
NSW Fair Tradingは、大家がテナントの同意なくボンドから請求する場合の義務を明記しています。「テナントの同意なくボンドから請求したい場合、請求から7日以内に、次のものをテナントに渡さなければなりません」。
  • テナンシー終了時に作成されたコンディションレポートの写し
  • 請求している作業についての見積・請求書・領収書の写し
そして「必要な期間内にこれらの書類を提供しないことは、大家または業者への罰則につながる可能性があります」とされています。
さらに強い記載があります。「あなたの業者または大家がボンドに対して請求を行い、その請求の証拠をあなたに提供しない場合、これはResidential Tenancies Act 2010(住居賃貸借法2010)違反です。彼らの行為を審査させるため、NSW Fair Tradingに苦情を申し立てるべきです」。
「見積書は後で送る」「だいたいこのくらいかかる」——制度上、それでは足りません。
大家が請求できる理由も列挙されています。未払い家賃、早期解約の違約金、清掃が入居時の水準に達していない、鍵や防犯装置が返却されず交換が必要、通常の損耗を超える損傷、未払いの水道使用料。ただし水道使用料には条件があり、「大家が請求書を受け取ってから3か月以内に支払いを求めた場合」とされています。
なおFair Tradingは「これは完全なリストではありません。他にも正当な理由があり得ます」とも注記しています。
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通知はメールとSMSで届きます

14日の応答期間

NSW Fair Tradingは「ボンドの一部が大家または業者によって請求されている場合、テナントは請求通知(Notice of Claim)をメールとSMSで受け取り、応答するための14日間の通知期間が与えられます」と記載しています。紙で提出されたボンドの場合は、郵送で通知が届きます。

ここが実務上の落とし穴です。メールとSMS——豪州の電話番号を解約していると、SMSは届きません。メールアドレスも、渡航中だけ使っていたものだと見落とします。

14日間、気づかないまま過ぎることは十分あり得ます。

だから退去前に、連絡先が最新かどうかを確認しておく価値があります。これは現地SIMの解約タイミングとも関わる話です。番号を解約するのは、ボンドが戻ってからでも遅くありません。

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争いになったら:凍結という手続きがあります

支払期日の前に、ログインする
NSW Fair Tradingは、紛争になった場合の重要な手順を記載しています。
まず、大家または業者があなたの請求に異議を唱える場合。「彼らは通知を受け取ってから14日以内にNSW Civil and Administrative Tribunal(NCAT/審判所)に申し立て、そうしたことをFair Tradingに書面で伝えなければなりません。審判所がボンドの支払い方法を決定します」。
次に、あなたが争う側になる場合。「審判所に申し立てた後、次のステップは、『支払期日(due for payment)』の前にRental Bonds Onlineにログインすることです。これにより、紛争を提起したことをFair Tradingに伝え、審理の結果または全当事者の合意が出るまでボンドが凍結されるようにできます」。
ここが見落とされやすい点です。審判所に申し立てただけでは足りません。RBOにログインして凍結を伝える必要があります。そして期限は「支払期日の前」です。
紙で提出したボンドの場合は、請求通知フォーム下部の切り取り部分に記入してFair Tradingに返送する、とされています。
交渉で合意できた場合の期限も示されています。「大家または業者と合意に至った場合、彼らは14日以内に請求分を支払うべきです」。
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支払われた後でも、6か月あります

終わったと思っても、終わりではありません

NSW Fair Tradingには、こう記載されています。「テナントは、ボンドがすでに支払われた後であっても、支払いから6か月以内であれば審判所に行くことができます。大家も同様に、同じ期間が適用されます」。
つまり「もう引き落とされてしまったから終わり」ではないということです。
審判所に持ち込む際、テナントが証拠とともに示すべき内容も列挙されています。 2つ目に注目してください。「Fair Tradingに預託されていなかったかどうか」が争点として明示されています。つまり預託されていない状態が起こり得るということであり、それ自体が主張の材料になるということです。
これは英国の制度と共通する構造です。英国では、大家がスキームに預けなかった場合、裁判所がデポジットの最大3倍の支払いを命じ得るとされています。預けない、という行為に制度が反応する設計は共通しています。
審判所への申し立ては、オンラインでも紙のフォームでも可能とされています。紙の場合は審判所の窓口またはService NSWのサービスセンターで提出できます。
相談先も公式に案内されています。Tenants' Union of NSW(テナント組合)が、テナントに法的助言・支援・情報を提供しているとされています。

シェアハウスには、別の14日があります

先に出ていく人と、残る人

NSW Fair Tradingは、共同テナンシー(shared tenancy)について具体的に記載しています。

「共同テナントの1人がシェアテナンシーから退去し、自分のボンドの返還を求めた場合、残るテナントは、未払い家賃やその他の合理的な費用を差し引いたうえで、要求から14日以内にそのボンドを返済しなければなりません」。

これは日本人同士のシェアでも起こり得る話です。誰かが先に帰国する。その人のボンド分を、残った人が返す。それが「14日以内」と定められています。

ただし例外も明記されています。元共同テナントの債務がその人が支払ったボンド額を超える場合、および元共同テナントが最終的な接近禁止命令(apprehended violence order)によって物件から排除されている場合は適用されません。

また、主たるテナント(principal tenant)の役割も定義されています。「シェア物件のすべての共同テナントを代表して行動する主たるテナントは、テナンシー終了時に全員を代表してRental Bonds Onlineで返還請求を提出または応答し、ボンドの返金を他のテナントに分配すべきです」。

つまり全員分がまとめて1人の口座に入る、という設計です。シェアハウスに入るとき、誰が主たるテナントなのかは確認しておく価値があります。お金が最初にその人のところへ行くからです。

英国・カナダ・NZと並べてみる

国・地域敷金の預け先
豪州NSW州機関(NSW Fair Trading)が直接保持
英国(イングランド・ウェールズ)政府承認の民間スキーム3つのいずれか
カナダBC州大家が保持(上限は家賃の半額)
ニュージーランド契約の当事者かどうかで扱いが変わる

同じ英語圏で、設計が4通りあります

NSWは州の機関そのものが持ちます。英国は政府が承認した民間スキームが持ちます。カナダBC州では大家が保持し、代わりに金額の上限(家賃の半額)が定められていますニュージーランドでは、契約書に署名しているかどうかで法の適用そのものが変わります

「英語圏だから似たようなもの」ではありません。お金を誰が持つかという、いちばん基本的な部分から違います。

そして共通しているのは、どの制度も「戻ってこない」問題に対処するために作られているという点です。設計が違うのは、対処の仕方が違うだけです。

渡航先が決まったら、その国・その州の制度をひとつだけ確認しておく。それで足ります。4つ全部を覚える必要はありません。

NSWで部屋を借りたら、確認する3つ

NSWでは、ボンドは大家ではなく州の機関が持っています。そして返還請求は、大家が動くのを待つ手続きではありません。条件を満たしていれば、あなたから始められます。

大家が請求する側に回る場合、7日以内に証拠を出す義務があります。出さないことは、住居賃貸借法2010違反とされています。

そして支払われた後も、6か月間は審判所に持ち込めます。

この制度を知っているかどうかで、退去の1週間の過ごし方が変わります。知らなければ、相手からの連絡を待つことになります。知っていれば、先に動けます。

この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、オーストラリアには渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものであり、現地での賃貸体験は含みません。
出典はNSW Fair Trading(NSW州政府)の「Residential rental bonds」「Getting your bond back at the end of a tenancy」(2025年2月25日更新)「Dealing with bond disputes for tenants」(2024年5月22日更新)です(いずれも2026年8月時点で確認)。根拠法はResidential Tenancies Act 2010です。本記事が扱うのはニューサウスウェールズ州の制度であり、ビクトリア州・クイーンズランド州・西オーストラリア州などには別個の制度があります。メルボルンやブリスベン、パースで部屋を借りる場合は、それぞれの州の制度をご確認ください。
本記事では、ボンド額の上限、何が「通常の損耗」に当たり何が損傷に当たるかの判断基準、コンディションレポートの具体的な記入方法、NCATの申立手数料と審理の進み方、早期解約の違約金の計算、Smart Rental Bondsなど個別の制度については扱っておらず、判断も示していません。これらについてはNSW Fair Trading、NCAT、またはTenants' Union of NSWの該当ページでご確認ください。制度・期限・金額は変更されます。個別の賃貸トラブルについては、Tenants' Union of NSWなどの支援団体または専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。

関連:敷金の制度は、英語圏4か国でまったく違います
カナダBC州は大家が保持し、転送先住所の受領から15日以内に返還。遅れれば2倍英国30日以内に承認スキームへ預ける義務があり、違反すれば最大3倍豪州NSW州は州機関が直接保持します。
ワーホリの敷金・デポジット4か国比較|カナダBCは2倍、英国は最大3倍
関連:パスポートを持ち歩かない方法があります
NZのKiwi Access Cardは公式案内で国際訪問者も対象とされ、約20営業日で届き有効期間10年。豪州NSWのPhoto Cardは運転免許がなくても取得できます(ただし一部の状況では使えないと明記)。
現地の写真付き身分証|NZのKiwi Access CardとNSWのPhoto Card

渡航後の手続きは、住所と連絡先が決まってから動き出します。逆に言えば、その2つがない間は何も進みません。

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退去の通知は、シェアハウスだと影響範囲が変わります

NZ公式は「1人のテナントが通知すると、すべてのテナントについて賃貸借を終了させる」と明記しています。NSWには自分の分だけ終わらせる項目があります。同じ21日でも設計が違います。

退去は何日前に伝えるのか|NZとNSWの違い

よくある質問

シドニーで払ったボンドは誰が持っているのですか?

NSW Fair Trading(州政府の機関)です。公式には「レンタルボンドとは、テナントが大家または業者に支払い、NSW Fair Tradingが担保として保持する金銭です」と記載されています。大家や不動産業者の口座に置かれるのではなく、州の機関が直接持つ設計です。テナントと大家の双方が、Rental Bonds Online(RBO)というシステムでボンドを管理・請求できます。これは英国の制度(政府が承認した民間スキーム3つのいずれかが保持)ともカナダBC州の制度(大家が保持し、代わりに家賃の半額という上限がある)とも異なる設計です。

ボンドの返還は大家が手続きしてくれるのを待つのですか?

待つ必要はありません。NSW Fair Tradingは「大家がボンドを解放するのを待つ必要はありません。もともとオンラインでボンドを提出しており、テナンシー終了後にやるべきことをすべて済ませているなら、Rental Bonds Onlineでボンドを請求できます」と明記しています。請求後、大家または業者には受け入れるまでに最大14日が与えられます。RBOを使っていて情報が正しければ、請求が受け入れられてから2営業日で指定の銀行口座に振り込まれるとされています。なおRBOのアカウントがない場合は紙のフォームでも請求でき、大家が署名しなくても提出できます。その場合、相手に14日の異議申立期間が与えられ、異議がなければFair Tradingが14日後に支払うとされています。

退去前に何を済ませておけばいいですか?

NSW Fair Tradingは6項目を挙げています。通知期間の終了日まで(早期解約の場合は退去日まで)の家賃を支払うこと、物件を元の状態に合わせて清掃すること、私物をすべて撤去すること、「通常の損耗」を超える損傷を修理すること、大家とコンディションレポートに署名して確定させること、入居時に渡された鍵やその他の物品をすべて返却することです。基準は「きれいかどうか」ではなく「入居時と比べてどうか」であるため、入居時のコンディションレポートと写真が決定的な意味を持ちます。なお何が通常の損耗に当たるかについては本記事では扱っていません。

大家がボンドから差し引きたいと言ってきたらどうなりますか?

テナントの同意なく請求する場合、大家には7日以内の証拠提出義務があります。NSW Fair Tradingは「請求から7日以内に、テナンシー終了時に作成されたコンディションレポートの写しと、請求している作業についての見積・請求書・領収書の写しをテナントに渡さなければなりません」と記載しています。そして「請求の証拠を提供しない場合、これはResidential Tenancies Act 2010違反です。NSW Fair Tradingに苦情を申し立てるべきです」と明記されています。また請求通知はメールとSMSで届き、応答するための14日間が与えられます。豪州の電話番号を解約していると通知に気づけない可能性があるため、退去前に連絡先が最新か確認しておく価値があります。

ボンドで揉めたらどうなりますか?

大家または業者があなたの請求に異議を唱える場合、通知受領から14日以内にNSW Civil and Administrative Tribunal(NCAT/審判所)に申し立て、その旨をFair Tradingに書面で伝える必要があるとされています。審判所がボンドの支払い方法を決定します。あなたが争う側になる場合、審判所に申し立てたうえで、「支払期日(due for payment)」の前にRental Bonds Onlineにログインして紛争を提起したことを伝える必要があります。これによりボンドが凍結されます。申し立てただけでは凍結されない点に注意が必要です。なお交渉で合意できた場合、相手は14日以内に支払うべきとされています。

シェアハウスで先に出ていく人のボンドはどうなりますか?

NSW Fair Tradingは「共同テナントの1人がシェアテナンシーから退去し、自分のボンドの返還を求めた場合、残るテナントは、未払い家賃やその他の合理的な費用を差し引いたうえで、要求から14日以内にそのボンドを返済しなければなりません」と記載しています。ただし元共同テナントの債務がその人の支払ったボンド額を超える場合や、最終的な接近禁止命令によって物件から排除されている場合は適用されないとされています。また主たるテナント(principal tenant)は、全員を代表して返還請求を行い、返金を他のテナントに分配すべきとされています。つまり全員分がまとめて1人の口座に入る設計であるため、誰が主たるテナントかは入居時に確認しておく価値があります。

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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。