数字から言います。イギリスの最低賃金は2026年4月から時給£12.71です(GOV.UK/2026年8月12日更新時点)。
ただしこの£12.71は、21歳以上に適用される National Living Wage の額です。18〜20歳は£10.85、18歳未満と見習いは£8です。
そして見落とされている事実があります。この「21歳」という分岐点は、下がってきました。GOV.UKの過去レート表によれば、National Living Wage の対象は2021年3月以前が25歳以上、2021年4月から2024年3月までが23歳以上、2024年4月からが21歳以上です。
5年で25歳→23歳→21歳。つまり「イギリスは年上ほど有利」という構造が、縮んできているということです。
論点は1つです。あなたの年齢は、どちらの側ですか。
この記事は、イギリスで働く予定の人に向けて書いています。
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この記事を書いている立場:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、イギリスには渡航していません。そのため現地の求人相場や職場の実感については書きません。本記事は制度を公的資料から整理したものです。
出典はGOV.UK「National Minimum Wage and National Living Wage rates」(2026年8月12日更新/2026年8月時点で確認)です。Youth Mobility Scheme の年齢要件については外務省「ワーキング・ホリデー制度」を参照しています。
賃金額は毎年4月1日に改定されます。必ずGOV.UKの公式ページで最新の額を確認してください。本記事は法的助言ではありません。
結論:4つの区分があります
| 区分 | 2026年4月からの時給 | 名称 |
|---|---|---|
| 21歳以上 | £12.71 | National Living Wage |
| 18〜20歳 | £10.85 | National Minimum Wage |
| 18歳未満 | £8 | National Minimum Wage |
| 見習い(apprentice) | £8 | Apprentice rate |
2つの制度が並んでいます
GOV.UKは次のように記載しています。National Minimum Wage を得るには「就学終了年齢(school leaving age)」以上であること。National Living Wage を得るには21歳以上であること。そして20歳以下の労働者には、引き続き最低賃金が適用される。
つまり「最低賃金がない年齢」はありません。21歳未満でも National Minimum Wage の対象です。額が違うだけです。
そして改定は毎年4月1日です。GOV.UKは「レートは毎年4月1日に変わる」と明記しています。これは日付が固定されているということで、確認の習慣をつけやすい構造です。
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| 期間 | National Living Wage の対象年齢 |
|---|---|
| 2021年3月まで | 25歳以上 |
| 2021年4月〜2024年3月 | 23歳以上 |
| 2024年4月以降 | 21歳以上 |
これはGOV.UKの過去レート表から読める事実です
同ページには年度ごとの表が並んでおり、2021年3月以前は「25 and over」、2021年4月から2024年3月までは「23 and over」、2024年4月以降は「21 and over」という見出しになっています。
意味するところは単純です。かつては24歳でも下位のレートでしたが、いまは21歳から満額の対象です。
そして金額の伸び方も、年齢によって違います。21歳以上のレートは2024年4月の£11.44から2026年4月の£12.71へ、およそ11%の上昇。これに対し18〜20歳は£8.60から£10.85へ、およそ26%の上昇です。
差額で見ると、2024年4月が£2.84、2025年4月が£2.21、2026年4月が£1.86。年齢による差は縮まり続けています。
この傾向は今後も続くのか、本記事では断定しません。政策判断によるものだからです。確実なのは、過去2年でそう動いてきたという事実だけです。
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イギリスの Youth Mobility Scheme(YMS)は、外務省の資料によれば18歳以上30歳以下が対象で、最長2年間の滞在が認められています。つまり18〜20歳での渡航が制度上あり得ます。
その場合、適用されるのは£12.71ではなく£10.85です。
週40時間・月4.33週で試算すると(額面/税や控除は引いていません):
- £12.71(21歳以上):週£508.40/月およそ£2,201
- £10.85(18〜20歳):週£434.00/月およそ£1,879
ただし渡航中に21歳になれば、そこから£12.71の対象です。20歳で渡航しても、誕生日を迎えれば変わります。雇用主が自動的に反映するとは限らないため、誕生日以降の給与明細を確認してください。
YMSの制度そのものはイギリスのワーホリの記事で扱っています。
見習いレートには、年齢と関係のない罠があります
見習い(apprentice)レートが適用されるのは、次のいずれかに当てはまる場合とされています。①19歳未満であること ②19歳以上で、見習い期間の1年目にあること。
GOV.UKは例をこう書いています。「見習い期間の1年目にある21歳の見習いは、最低時給£8を受け取る権利がある」。つまり21歳であっても、見習い1年目なら£8です。£12.71ではありません。
逆の例も挙げられています。「見習い期間の1年目を修了した21歳の見習いは、最低時給£12.71を受け取る権利がある」。19歳以上で、かつ1年目を修了していれば、年齢に応じたレートに戻ります。
差は£4.71です。週40時間なら週£188.40の違いになります。「見習い」「トレーニング期間」といった説明を受けた場合は、それが制度上の apprenticeship に当たるのかを確認してください。
本記事では、YMSでの就労がどの場合に apprenticeship に該当するかについては判断を示しません。確認できる一次情報がないためです。契約内容に疑問があれば、後述のAcasに相談してください。
4月1日という日付を、覚えておいてください
改定日が固定されている国です
GOV.UKは「レートは毎年4月1日に変わる」と明記しています。ニュージーランドの4月1日と同じく、日付が決まっている構造です。
だから確認の手順が組み立てやすい。4月に入ったら、①自分に適用されるレートが変わっていないか ②給与明細に反映されているかを見る。これだけです。
そして反映されないケースがあり得ます。雇用主の処理漏れ、あるいは賃金計算期間のずれです。4月をまたぐ給与明細は、とくに注意して見てください。
もう1つ。年齢の区分をまたぐ誕生日も同じです。21歳になる日は、あなたにとって改定日と同じ意味を持ちます。カレンダーに入れておいてください。
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自分で確かめられる仕組みが用意されています
GOV.UKは最低賃金計算ツール(minimum wage calculator)を公開しており、National Minimum Wage または National Living Wage が支払われているかを確認できると案内しています。
そして相談先はAcasです。GOV.UKは「最低賃金を受け取っていない、受け取るべきだと考える場合はAcasに連絡を」と記載しています。
やること:①給与明細を保管する(時給・労働時間・控除額) ②疑問があればまず計算ツールで確認する ③解決しなければAcasに相談する。
この順番が大事です。いきなり雇用主と対立するより、公式ツールで数字を確かめてから話すほうが、話が具体的になります。
なおGOV.UKには、仕事の種類(work type)によって最低賃金の計算方法が異なるという案内もあります。時間給・出来高払いなどの区分です。本記事では各区分の詳細に立ち入らないため、該当する場合は公式ページで確認してください。
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他の英語圏と比べたときの位置
| 国 | 年齢による区分 | 分岐点 |
|---|---|---|
| イギリス | あり(4区分) | 21歳 |
| アイルランド | あり(4区分) | 20歳 |
| オーストラリア | 業種別のアワードが中心 | — |
| カナダ | 州・準州ごとに異なる | — |
「1つの数字で表せない」理由が、国ごとに違います
イギリスとアイルランドは年齢で分かれます。イギリスは21歳、アイルランドは20歳が分岐点です。
オーストラリアは業種で分かれます。全国最低賃金とアワード(業種別)の2階建てです。
カナダは地域で分かれます。州・準州ごとに額が違い、連邦との2階建てになっています。
つまりどの国でも、「その国の最低賃金は◯◯」という一文では自分の下限が決まりません。分かれ方が違うだけです。自分がどの区分に入るかを先に確定させてください。
運営者の視点:年齢の線は動きます
渡航していないので、制度の構造だけを言います
運営者はイギリスに行っていません。だから求人の実態も、生活の感覚も語れません。語れるのは公式資料から読めることだけです。
そのうえで、この制度でいちばん面白いと思ったのは、分岐点が動いてきたという事実です。25歳→23歳→21歳。2020年に24歳で渡航した人と、2026年に24歳で渡航する人では、適用されるレートの立場が違います。
これは何を意味するか。「イギリスの最低賃金は◯◯」という情報の賞味期限が、金額だけでなく区分にも及ぶということです。数年前の記事を読むと、金額が古いだけでなく、年齢の線そのものが違っている可能性があります。
運営者はカナダで、賃金の根拠を調べませんでした。問題は起きませんでしたが、それは確認したからではなく、たまたまです。そして給与明細も残していなかったので、いま検証もできません。
だから提案します。渡航前に3つ書き出してください。①自分の年齢に対応するレート ②21歳になる日と、毎年4月1日 ③Acasという相談先の名前。
この3つは15分で終わります。そして必要になったときには、調べる余裕がないことが多い。
イングランドとウェールズでは、大家はデポジットを受領から30日以内に政府承認のスキームへ預ける義務があります。預けなかった場合、裁判所はデポジットの最大3倍の支払いを命じることができ、テナンシー終了時に退去しなくてよいと判断することもあるとされています。
→ 英国のデポジット保護制度|30日以内に預ける義務と、守られなかった場合の3倍
National Insurance番号がなくても働き始められますが、緊急税コードになると週・月の収入を1年分とみなして課税され、税年度の終わりまで続きます。有給休暇は年5.6週間で、ゼロ時間契約の労働者も対象です。
→ 英国で働き始めるときの2つの数字|緊急税コードと年5.6週間の有給
英国の週48時間上限は本人の同意(自発的・書面)で外せますが、拒否しても不利益を受けないと明記されています。一方NZの休憩(8時間勤務で10分2回+30分1回)は、契約で減らす条項が効力を持ちません。
→ 労働時間と休憩|英国の48時間オプトアウトと、NZの減らせない休憩
現地の仕事探しで効くのは、応募数でも運でもなく「英語で最初の3分を乗り切れるか」です。電話、店頭での声かけ、面接の冒頭。ここが詰まると、条件の良い求人ほど先に埋まります。
よくある失敗
失敗①:£12.71が自分に適用されると思い込む
£12.71は21歳以上の額です。18〜20歳は£10.85、18歳未満は£8。
失敗②:数年前の記事の年齢区分を信じる
分岐点は25歳→23歳→21歳と変わってきました。区分自体が古くなります。
失敗③:21歳の誕生日後に給与明細を見ない
21歳になれば£12.71の対象です。自動的に反映されるとは限りません。
失敗④:「見習い」の意味を確認しない
GOV.UKの例では見習い1年目の21歳は£8です。差は£4.71になります。
失敗⑤:4月をまたぐ給与明細を確認しない
改定は毎年4月1日です。反映漏れが起きやすい時期です。
失敗⑥:計算ツールを使わずに交渉する
GOV.UKに公式の計算ツールがあります。数字を確かめてから話してください。
今日からできる3つのこと
- ①渡航時の自分の年齢に対応するレートを確認する:£12.71とは限りません
- ②21歳になる日と、毎年4月1日をカレンダーに入れる:どちらも変更日です
- ③GOV.UKの計算ツールとAcasをブックマークする:確認先と相談先を先に持つ
イギリスの最低賃金は2026年4月から£12.71です。ただしそれは21歳以上に適用される National Living Wage であり、18〜20歳は£10.85、18歳未満と見習いは£8です。
そしてこの21歳という線は、2021年3月まで25歳、2024年3月まで23歳でした。金額だけでなく、区分そのものが動いています。だから「イギリスの最低賃金」を調べるときは、金額と一緒に「その情報がいつのものか」を必ず見てください。
本記事の制度に関する記述および金額は、GOV.UK「National Minimum Wage and National Living Wage rates」(2026年8月12日更新/2026年8月時点で確認)にもとづきます。Youth Mobility Scheme の年齢要件および滞在期間については外務省「ワーキング・ホリデー制度」を参照しています。本記事では、イギリスの職種別の求人相場、実際の手取り額、所得税および国民保険料の控除、仕事の種類(work type)ごとの最低賃金の計算方法については、確認できる一次情報がないため記載していません。また、Youth Mobility Scheme での就労がどのような場合に apprenticeship に該当するかについても判断を示していません。月額の試算は週40時間・月4.33週として計算した額面であり、税や控除は反映していません。賃金額は毎年4月1日に改定されます。必ずGOV.UKの公式ページで最新の内容を確認してください。本記事は法的助言ではありません。個別の賃金トラブルについてはAcasまたは専門家にご相談ください。
よくある質問
イギリスの最低賃金はいくらですか?
GOV.UKによれば、2026年4月からの時給は、21歳以上が£12.71(National Living Wage)、18〜20歳が£10.85、18歳未満と見習いが£8です。National Minimum Wage を得るには就学終了年齢(school leaving age)以上であること、National Living Wage を得るには21歳以上であることとされており、20歳以下の労働者にも引き続き最低賃金が適用されます。レートは毎年4月1日に改定されるため、渡航時にはGOV.UKの公式ページで最新の額を確認してください。
なぜ21歳が分かれ目なのですか?
現在の National Living Wage の対象が21歳以上と定められているためです。ただしこの分岐点は変わってきました。GOV.UKの過去レート表によれば、2021年3月以前は25歳以上、2021年4月から2024年3月までは23歳以上、2024年4月以降が21歳以上です。5年で2回下がったことになります。そのため数年前に書かれた記事を読むと、金額だけでなく年齢の区分そのものが現在と異なっている可能性があります。情報の日付を必ず確認してください。
18歳や19歳でワーホリに行くと、時給はどれくらい違いますか?
18〜20歳は£10.85、21歳以上は£12.71なので、時給の差は£1.86です。週40時間・月4.33週で試算すると、月およそ£322、年でおよそ£3,866の差になります。イギリスの Youth Mobility Scheme は外務省の資料によれば18歳以上30歳以下が対象で最長2年間の滞在が認められているため、2年間フルに働いた場合の差はおよそ£7,732です。ただし渡航中に21歳になれば、そこから£12.71の対象になります。自動的に反映されるとは限らないため、誕生日以降の給与明細を確認してください。なおこの試算は額面であり、税や控除は反映していません。
年齢による差は今後も続きますか?
本記事では断定しません。政策判断によるものだからです。ただし過去の推移として、21歳以上のレートは2024年4月の£11.44から2026年4月の£12.71へおよそ11%の上昇であるのに対し、18〜20歳は£8.60から£10.85へおよそ26%の上昇となっています。差額で見ると2024年4月が£2.84、2025年4月が£2.21、2026年4月が£1.86で、年齢による差は縮まってきています。これは過去2年の事実であり、今後を保証するものではありません。
「見習い」と言われた場合は注意が必要ですか?
確認してください。GOV.UKによれば、見習い(apprentice)レートが適用されるのは、19歳未満である場合、または19歳以上で見習い期間の1年目にある場合です。GOV.UKは「見習い期間の1年目にある21歳の見習いは最低時給£8を受け取る権利がある」という例を挙げています。つまり21歳でも見習い1年目なら£8であり、£12.71との差は£4.71です。一方、19歳以上で1年目を修了していれば年齢に応じたレートに戻ります。なお Youth Mobility Scheme での就労がどのような場合に apprenticeship に該当するかについては、確認できる一次情報がないため本記事では判断を示していません。契約内容に疑問があればAcasに相談してください。
最低賃金が支払われていないときはどうしますか?
GOV.UKは最低賃金計算ツール(minimum wage calculator)を公開しており、National Minimum Wage または National Living Wage が支払われているかを確認できると案内しています。そのうえで、最低賃金を受け取っていない、受け取るべきだと考える場合はAcasに連絡するよう記載しています。手順としては、まず給与明細(時給・労働時間・控除額)を保管し、疑問があれば公式の計算ツールで確認し、解決しなければAcasに相談するという流れになります。数字を確かめてから話すほうが、話が具体的になります。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。