ニュージーランドで働くとき、雇用主には書面の雇用合意書を渡す義務があります。そして渡さなかった場合の金額が、公式に示されています。
Employment New Zealand(ビジネス・イノベーション・雇用省)は、こう記載しています。「従業員に書面の雇用合意書を渡さない場合、$1,000の反則金(infringement fee)を科される可能性があります。さらに、個人の雇用主には最大$10,000、法人には最大$20,000の罰則が命じられる可能性があります」。
「契約書がまだできていない」「口約束で始めよう」——これは制度上、想定されていない状態です。
そして雇用合意書には、必ず含めなければならない項目が定められています。そのなかに、知らないと権利を失う期限が2つ入っています。
この記事は、ニュージーランドで働く人に向けて、公式に確認できる範囲を整理したものです。
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渡さない場合の金額は、3段階で示されています
| 対象 | 金額 |
|---|---|
| 反則金(infringement fee) | $1,000 |
| 個人の雇用主への罰則 | 最大$10,000 |
| 法人への罰則 | 最大$20,000 |
これは「推奨」ではなく「義務」です
Employment New Zealandは「すべての従業員は、書面の雇用合意書を持たなければなりません」と記載しています。個別雇用合意(individual agreement)を結ぶか、組合員であれば該当する団体協約でカバーされる形になります。そして雇用主には、書面の交付だけでなく保管の義務もあります。Employment New Zealandは次の3点を挙げています。
- 雇用合意書の写し(または現行の署名済み雇用条件)を手元に保管し、従業員が求めれば渡すこと
- 従業員が署名していない場合でも、「intended agreement(予定された合意書)」を保管すること
- 雇用合意書が、法的にカバーすべき事項をすべて含んでいることを確保すること
そして1つ目——「従業員が求めれば渡す」。手元にない場合、請求できるということです。 あわせて読みたいワーホリの海外送金|手数料と為替で目減りさせない送り方ワーホリ・留学の海外送金完全ガイド。Wise・Revolut・銀行送金を運営者カナダ12ヶ月実体験で徹底比較。手数料0.
90日。これがいちばん重要な数字です
Employment New Zealandは、個別雇用合意に必ず含めなければならない項目を列挙しています。そのなかに、次の記載があります。
「雇用関係の問題を解決しようとする方法についての、明確で平易な説明。これには次を含む:ほとんどの個人的苦情(personal grievance)は90日以内に提起しなければならないという記述、およびセクシャルハラスメントの個人的苦情は12か月以内に提起しなければならないという記述」。
つまり、あなたの雇用合意書には「90日」という数字が書かれているはずです。そしてそれは制度が、あなたに知らせるべき情報として指定したものです。
90日は短い。職場で問題が起きたとき、我慢して様子を見て、相談先を探して、決心する。そのあいだに過ぎ得る長さです。
だから覚えておいてください。不当な扱いを受けたと感じたら、まず日付を記録する。いつ何が起きたか。それが後の起点になります。
本記事では、何が個人的苦情に当たるか、どう提起するかについては扱いません。Employment New Zealandの該当ページおよび専門家にご確認ください。ただし「90日という期限が存在すること」は、働き始める前に知っておく価値があります。
雇用合意書に必ず入る項目
Employment New Zealandが列挙している内容です
- 雇用主と従業員の氏名(合意の当事者を明確にするため)
- 行う業務の説明(従業員が何をすることを期待されているかを明確にするため)
- 勤務地の表示
- 合意された労働時間、またはその表示——時間数、開始・終了時刻、勤務する曜日のいずれかまたはすべて
- 支払われる賃金率または給与(関連する最低賃金以上でなければならない)と、その支払方法。現金で支払わない場合は、支払方法を記載すべき
- 雇用関係の問題の解決方法の説明(90日・12か月の期限を含む)
- 祝日に働いた場合に(少なくとも)支払いを受けるという記述
- 事業が売却・移転された場合、または業務が外部委託された場合に適用される雇用保護条項(該当する従業員について)
- 試用期間(trial period)、見習い期間(probationary arrangement)、稼働可能性条項(availability provision)など、合意したその他の事項
- 有期雇用(fixed term)の場合は、そのことを記録し、あわせて有期である真正な理由(genuine reason)を記載すること
そして労働時間の項目。時間数、開始・終了時刻、曜日。これらが書かれていない契約書は、必須項目を欠いている可能性があります。 あわせて読みたいNZのGreat Walks|6か月住むと変わる料金と予約のしかたDOCによればミルフォードの山小屋は夏季でNZ居住者106ドル、国際訪問者152ドル。居住者料金の条件は歩く直前の12か
契約書に書かれていなくても、適用される権利があります
「書いていないから、ない」ではありません
Employment New Zealandは、はっきりこう記載しています。「雇用合意書に記載されていなくても、従業員には法律で定められた最低雇用権利が与えられなければなりません」。例として挙げられているのが2つです。
- 少なくとも最低賃金を受け取る権利
- 年4週間の有給休暇(12か月そこで働いた後)
つまり「年次休暇なしの代わりに時給を上げる」といった取引は、制度上成立しないということです。
さらに雇用合意書の内容そのものにも制限があります。「雇用合意書は、法に反するもの、または雇用関係法2000に矛盾するものを含んではなりません」。
これはBC州の賃貸契約で確認した構造と同じです。契約書に書いてあることが、すべて有効とは限らない。法が上にある、という設計です。
なお最低賃金の額そのものは別の記事で扱っています。年に一度、4月1日に改定されます。 あわせて読みたいNZの釣りライセンス|非居住者の取り方と罰金の避け方Fish&GameNewZealandによれば非居住者シーズン券は270ドル、1日券は38ドル。8日以上釣るならシーズン
署名する前に、できること
Employment New Zealandが従業員に勧めていること
「仕事を引き受けることに同意する前に、従業員は雇用合意書を読み、理解できないことについて質問し、必要であれば専門的な助言を得るべきです」と記載されています。
そして交渉についても明記されています。「従業員は、雇用合意書でより良い条件を得ようと試みたい場合、雇用主と話し合うことができます。交渉にあたっては、雇用主と従業員の双方が誠実に行動する必要があります」。
「より良い条件を求めてよい」と公式に書かれている——これは知っておく価値があります。提示された条件をそのまま受け入れるしかない、という前提ではありません。
そして最低権利を上回る条件で合意した場合の扱いも示されています。「最低権利より良い条件に合意した場合は、それを雇用合意書に記録すべきです」。口約束で終わらせない、ということです。
同じ職場で同じ仕事をしていても、条件が違うことはあり得ます。Employment New Zealandは「個別雇用合意の従業員は、同じ職場で同じ仕事をしていても、同一の条件である必要はありません」としています。ただし「不法な理由による差別をしていないことを確認する必要がある」とも付け加えられています。
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| ニュージーランド | オーストラリア(カジュアル) | |
|---|---|---|
| 雇用主の義務 | 書面の雇用合意書を渡す | 情報提供書(CEIS・FWIS)を渡す |
| 公表されている罰則 | 反則金$1,000/最大$10,000・$20,000 | 本記事では扱っていません |
| 必須記載 | 労働時間・賃金・苦情の期限など | — |
どちらも「知らせる」ことを義務にしています
ニュージーランドは雇用条件そのものを書面にすることを求め、オーストラリアはカジュアル雇用について情報提供書を渡すことを求めています。形は違いますが、どちらも「働く人が自分の条件を知らないまま働く」状態を防ごうとしています。
そしてニュージーランドの特徴は、罰則額が明示されていることです。$1,000、$10,000、$20,000。金額が公表されているということは、それだけ実効性を持たせようとしているということです。
働く人の側からできることは、シンプルです。書面をもらう。もらえなければ、求める。Employment New Zealandは、雇用主が「従業員が求めれば写しを渡す」義務を負うと記載しています。
権利の全体像はこちらの記事、職場でのトラブル対応はこちらの記事で扱っています。
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- ①書面の雇用合意書を受け取る:渡さないことは$1,000の反則金の対象とされています
- ②契約書のなかの「90日」を見つける:個人的苦情の提起期限です
- ③労働時間と賃金の記載を確認する:どちらも必須項目です
ニュージーランドでは、書面の雇用合意書が法律上の義務です。渡さない場合、$1,000の反則金、そして個人には最大$10,000、法人には最大$20,000の罰則が命じられる可能性があるとされています。
そして契約書には、必ず書かれるべき項目があります。業務の内容、勤務地、労働時間、賃金、祝日の扱い、そして問題が起きたときの期限。
最低賃金と年4週間の有給休暇は、契約書に書かれていなくても適用されます。そして雇用合意書は、それを減らすことができません。知っていれば、確認できます。
この記事について:運営者はカナダで12ヶ月、米国で半年を過ごしましたが、ニュージーランドには渡航していません。本記事は制度を公的資料から整理したものであり、現地での就労体験は含みません。
出典はEmployment New Zealand(ビジネス・イノベーション・雇用省/MBIE)「Creating an employment agreement」(2026年3月17日更新/2026年8月時点で確認)です。根拠法はEmployment Relations Act 2000(雇用関係法2000)です。なお同ページは雇用主向けに書かれた案内であり、本記事は働く側の視点で内容を整理したものです。本記事では、個人的苦情(personal grievance)に該当する行為、その提起の方法と手続き、試用期間・見習い期間・稼働可能性条項の具体的な要件、有期雇用の「真正な理由」の判断基準、団体協約の適用範囲、年次休暇の計算方法については扱っておらず、判断も示していません。これらについてはEmployment New Zealandの該当ページでご確認ください。また罰則の適用は個別の事情によって判断されるものであり、本記事は特定の状況における結果を示すものではありません。制度・法令・金額は改正されます。個別の労働問題については、Employment New Zealandまたは専門家にご相談ください。本記事は法的助言ではありません。
英国の週48時間上限は本人の同意(自発的・書面)で外せますが、拒否しても不利益を受けないと明記されています。一方NZの休憩(8時間勤務で10分2回+30分1回)は、契約で減らす条項が効力を持ちません。
→ 労働時間と休憩|英国の48時間オプトアウトと、NZの減らせない休憩
英国の法定最低通知期間は勤続12年以上で12週間、オーストラリアは5年超の4週間が上限(45歳超・勤続2年以上でさらに1週間)。ワーホリの1年ならどちらも基本は1週間で、豪州には「通知に代わる支払い」という形もあります。
→ 雇用を終わらせるときの通知期間|英国の12週と、豪州の4週
採用の可否は、経歴より「一緒に働けそうか」で決まる業種があります。そしてその印象は、最初のやり取りの数十秒で作られます。
① 話す回数を積む|ネイティブキャンプ
予約なしで回数を重ねられる形式です。読んで理解できることと、その場で口に出せることは別の能力です。渡航前に場数を踏んでおく用途に向きます。
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退去の通知は、シェアハウスだと影響範囲が変わります
NZ公式は「1人のテナントが通知すると、すべてのテナントについて賃貸借を終了させる」と明記しています。NSWには自分の分だけ終わらせる項目があります。同じ21日でも設計が違います。
よくある質問
ニュージーランドで雇用契約書は必ずもらえますか?
法律上の義務です。Employment New Zealandは「すべての従業員は、書面の雇用合意書を持たなければなりません」としており、渡さない場合の金額も公表しています。「従業員に書面の雇用合意書を渡さない場合、1,000ドルの反則金を科される可能性があります。さらに、個人の雇用主には最大10,000ドル、法人には最大20,000ドルの罰則が命じられる可能性があります」と記載されています。また雇用主には、写しを手元に保管し従業員が求めれば渡す義務、従業員が署名していない場合でも「予定された合意書」を保管する義務もあるとされています。手元にない場合は請求できるということです。
雇用契約書には何が書かれているべきですか?
Employment New Zealandは必須項目を列挙しています。雇用主と従業員の氏名、行う業務の説明、勤務地の表示、合意された労働時間またはその表示(時間数・開始終了時刻・勤務する曜日)、支払われる賃金率または給与(関連する最低賃金以上でなければならない)と支払方法、雇用関係の問題を解決する方法の説明、祝日に働いた場合に支払いを受けるという記述、事業売却・移転時の雇用保護条項、試用期間などの合意事項、そして有期雇用の場合はその旨と有期である真正な理由です。とくに労働時間と賃金の記載がない契約書は、必須項目を欠いている可能性があります。
「90日」とは何の期限ですか?
個人的苦情(personal grievance)を提起する期限です。Employment New Zealandは、雇用合意書に必ず含めるべき項目として「雇用関係の問題を解決しようとする方法についての明確で平易な説明」を挙げ、そこに「ほとんどの個人的苦情は90日以内に提起しなければならないという記述」および「セクシャルハラスメントの個人的苦情は12か月以内に提起しなければならないという記述」を含めるとしています。つまり雇用合意書には90日という数字が書かれているはずです。90日は、我慢して様子を見て相談先を探しているあいだに過ぎ得る長さです。不当な扱いを受けたと感じたら、まず日付を記録してください。なお何が個人的苦情に当たるか、どう提起するかについては本記事では扱っていません。
契約書に書いていない権利は、ないということですか?
違います。Employment New Zealandは「雇用合意書に記載されていなくても、従業員には法律で定められた最低雇用権利が与えられなければならない」と明記し、例として少なくとも最低賃金を受け取る権利と、年4週間の有給休暇(12か月そこで働いた後)を挙げています。さらに「最低権利は法的な要件であり、雇用合意書に書かれていなくても適用されます。雇用主が提示する雇用合意書は、これらを減らしたり他のものと引き換えにしたりすることはできません」とも記載されています。つまり「年次休暇なしの代わりに時給を上げる」といった取引は成立しません。また雇用合意書は、法に反するものや雇用関係法2000に矛盾するものを含んではならないとされています。
提示された条件は、交渉できますか?
できるとされています。Employment New Zealandは「従業員は、雇用合意書でより良い条件を得ようと試みたい場合、雇用主と話し合うことができます。交渉にあたっては、雇用主と従業員の双方が誠実に行動する必要があります」と記載しています。また「仕事を引き受けることに同意する前に、従業員は雇用合意書を読み、理解できないことについて質問し、必要であれば専門的な助言を得るべきです」ともされています。そして最低権利より良い条件に合意した場合は、それを雇用合意書に記録すべきとされています。口約束で終わらせないということです。
同じ職場の人と条件が違っても問題ないのですか?
制度上はあり得るとされています。Employment New Zealandは「個別雇用合意の従業員は、同じ職場で同じ仕事をしていても、同一の条件である必要はありません」と記載しています。ただし「不法な理由による差別をしていないことを確認する必要がある」とも付け加えられています。つまり条件が異なること自体は許容されるが、差別的な理由による差はこの限りではない、という構造です。なお本記事では、何が不法な差別に当たるかについては扱っていません。Employment New Zealandの該当ページまたは専門家にご確認ください。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。