出国時のNISA|「転任の命令」が起点になる仕組み

出国時のNISA|「転任の命令」が起点になる仕組み
悩んでいる人「口座はそのままにして行けばいい、と思っていました。」

※当記事はアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含みます。

こんなお悩みに答えます。

本記事の内容
  • 出国の前日までに届出書が要ること
  • 継続できる特例の起点が「転任の命令」であること
  • それ以外の場合に口座がどうなるか
  • 含み益と含み損で、扱いが違うこと
本記事の信頼性

運営者は大学時代に米国へ半年の交換留学、卒業後にカナダで12ヶ月のワーキングホリデー(バンクーバー5ヶ月+バンフ7ヶ月)を経験しました。英語は高校で赤点20点台、渡航前のTOEICは500点台、帰国後に780点。年収は渡航前450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になっています。訪問したのは米国とカナダのみで、他国は各当局の一次情報を調べてまとめています。

結論|出国の前日までに、届出が要ります

NISA口座を持ったまま海外に出る場合、手続きが要ります。 しかも期限が出国の日の前日までです。

①届出書は2種類あります
継続適用届出書出国届出書。 どちらを出すかで、口座の行き先が変わります。

②継続できる特例の起点は「転任の命令」です
国税庁のQ&Aに「給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずる やむを得ない事由」と書かれています。

③それ以外の場合、口座は廃止されます
「出国届出書」を出すと「非課税口座廃止届出書」を提出したものとみなされます。
運営者は税理士ではありません
この記事は国税庁のQ&Aを読んで整理したものです。
自分のケースがどちらに当たるかの判断はしていません。 条文の文言をそのまま示すので、証券会社と税務署に確認してください。
投資の判断についても、この記事では何も書きません。
あわせて読みたいワーホリ出発前の行政手続き|住民票と年金の判断のしかた住民票を抜くかどうかが、いろいろな前提になります

一次情報|出国したときの2つの道

国税庁の「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」Q22に、 こう書かれています。

Q22の記載(原文)
「非課税口座を開設している居住者等が出国する場合には、口座開設者は、 その出国の日の前日までに、次の場合に応じた届出書をそれぞれ 提出しなければならないこととされています。」
どんな場合出す書類口座はどうなるか
1転任の命令等のやむを得ない事由による一時的な出国で、帰国後に再び受入れを行う場合継続適用届出書一定の要件の下、非課税措置が継続
2上記1以外の場合出国届出書「非課税口座廃止届出書」を提出したものとみなされ、廃止

※ 出典:国税庁「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」(令和元年7月)Q22。 2026年9月7日確認。制度は改正されます。最新の取扱いは証券会社と税務署で確認してください。

「出さない」という選択肢は書かれていません
条文は「提出しなければならない」です。 1か2かのどちらかを、出国の日の前日までに出すという建て付けです。
黙って出国する、が想定されていないという点を先に押さえてください。

特例の起点は「転任の命令」です

では1の「継続できる特例」は、誰が使えるのか。Q23に定義があります。

Q23「適用対象者」の記載(原文)
「帰国した後再び非課税口座において上場株式等の受入れを行う居住者等で、 給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由により 一時的に出国をする者」

(注2)給与等の支払者からの転任の命令によりNISA口座開設者が 出国する場合のほか、給与等の支払者からの転任の命令による出国に NISA口座開設者である配偶者が同行する場合などが該当します。」

起点が「給与等の支払者からの転任の命令」に置かれています。 例として挙がっているのも本人の転任と、その配偶者の同行の2つです。

ここから先は、運営者は判断しません
自分の意思で行く留学やワーキングホリデーが、この文言に当てはまるのかどうか。
これは税務の判断なので、運営者は書きません。
条文の文言はここに示したとおりです。 自分のケースがどちらになるかは、口座のある証券会社と、所轄の税務署に確認してください。
→ 聞くときは「継続適用届出書の対象になりますか」と、 書類の名前を出して聞くのが早いです。
あわせて読みたいワーホリ帰国時のお金の後始末|口座を閉じる前の手順帰ってきてからの手続き

継続できた場合でも、制限があります

仮に1に当てはまったとしても、渡航前と同じようには使えません。

項目Q23の記載
継続の上限「継続適用届出書」を提出した日から5年を経過する日の属する年の12月31日まで
出国中の買付「出国した日から『帰国届出書』を提出する日までに取得した上場株式等は非課税口座に受け入れることはできません」
帰国したとき金融機関に「帰国届出書」を提出する
出さなかった場合5年を経過する年の12月31日までに帰国届出書を出さないと、非課税口座は廃止
除かれる人出国の日の属する年分の所得税について国外転出時課税制度の適用を受ける方は除かれます
「持ったまま行ける」であって「続けられる」ではありません
継続できるのは出国前に受け入れた分の非課税です。
出国中に買ったものは、非課税口座に入りません。
→ 積立を続けているつもりでも、その分は非課税の外になります。
渡航前に積立の設定をどうするかは、証券会社に確認してください。

廃止された場合の扱いは、非対称です

2に当たって口座が廃止された場合、中身がどうなるか。 同じQ&AのQ20の注に書かれています。

Q20(注1)の記載(原文)
「廃止した非課税口座に受け入れていた上場株式等は、非課税口座から払い出され、 特定口座や一般口座に移管されます。その際、非課税口座の廃止による払出しがあった時に、 その日の終値に相当する金額によりその上場株式等を売却したものとみなされます (その譲渡益については非課税の適用があり、 譲渡損失についてはなかったものとみなされます。)」
そのときの状態どうなるか
含み益が出ているその益は非課税の適用があります
含み損が出ているその損は「なかったものとみなされます」
もともとNISAは、この非対称を持っています
Q7にも同じ考え方があります。 NISA口座で出た譲渡損失は「ないものとみなされる」ため、 他の口座の利益との損益通算も、繰越控除もできません。
→ 出国による廃止で新しく生まれる不利ではなくNISAという制度がもともと持っている性質が、 廃止のタイミングで表に出るという理解が正確です。
あわせて読みたいワーホリの現地税金3か国比較|制度の型の見分け方渡航先で払う側の税金

渡航前に確かめること

確認することなぜ聞くか
自分は継続適用届出書の対象ですか起点が「給与等の支払者からの転任の命令」です。書類名を出して聞いてください
その証券会社は手続きに対応していますか制度上できることと、その会社が扱うことは別です
締切はいつですか法令上は出国の日の前日まで。会社の事務上の締切はもっと早い可能性があります
積立の設定はどうなりますか出国中は非課税口座に受け入れられません
特定口座や一般口座はどうなりますかこの記事はNISAだけを扱っています。他の口座は別の扱いです
住民票を抜くかどうかで変わりますか居住者か非居住者かが前提になる制度です
この記事で扱っていないこと
iDeCo、ふるさと納税、特定口座の扱い。一次情報を確認できていません
証券会社ごとの対応可否。各社の規定を確認しきれていません
「出国前に売るべきか」といった投資の判断。書きません
調べていないことは、書かないという方針です

まとめ|書類の名前を覚えて、早めに聞く

覚えるのは3つです
① 届出は出国の日の前日まで。「提出しなければならない」と書かれています
② 特例の起点は「給与等の支払者からの転任の命令」
③ それ以外は出国届出書で、口座は廃止されたものとみなされます

そして聞き方について
「継続適用届出書の対象になりますか」と書類名で聞く
会社の締切は、法令上の期限より早い可能性がある
判断は税務署と証券会社。この記事は文言を示すだけです

渡航の準備では、ビザ・保険・住民票・年金が先に来ます。 証券口座は後回しになりやすい項目です。 ただ期限が「出国の日の前日まで」なので、 気づいたときには間に合わないという形になりやすい手続きでもあります。

確認した情報

お金まわりは、日本にいる間にしかできない手続きが混ざっています。カードの発行には審査があり、口座の開設には書類が要ります。渡航後に気づくと、選択肢が減ります。
PR
① 日本のカードを1枚用意する|楽天カード
現地のカードや口座が使えない場面で、日本のカードが1枚あると動けます。入会でポイントが付与されるとされています。カード発行には審査があり、日本にいる間しか申し込めない種類もあります。渡航前に整理しておく項目です。
楽天カードの詳細を見る →
PR
② 現地で連絡が取れる状態を作る|Glocal eSIM
手続きも仕事探しも、連絡が取れないと止まります。公式の料金表では、単国プランが19の国と地域、ヨーロッパ周遊が36の国と地域です。到着してSIMを契約するまでの空白を、渡航前に埋めておく選択肢になります。
Glocal eSIMのプランを見る →
PR
③ 2社目の見解を取る|ラストリゾート
ワーホリ・語学留学の取り扱いが幅広く、資料請求・セミナー・カウンセリングと入口が分かれています。1社の説明が妥当かどうかは、2社目を並べたときに分かります。
ラストリゾートに相談・資料請求する →

よくある質問

留学やワーホリでもNISAは続けられますか?

国税庁のQ&Aでは、継続できる特例の対象者を「給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由により一時的に出国をする者」と定めています。例として挙がっているのは本人の転任と、その配偶者が同行する場合です。自分のケースが当たるかどうかは税務の判断になるため、この記事では判断していません。証券会社と税務署に確認してください。

何もしないで出国したらどうなりますか?

Q&Aには「出国の日の前日までに、次の場合に応じた届出書をそれぞれ提出しなければならない」と書かれており、提出しないという選択肢は示されていません。取扱いは証券会社によって案内が異なる可能性があるため、出国前に必ず問い合わせてください。

届出書はいつまでに出しますか?

法令上は出国の日の前日までです。ただし証券会社の事務上の締切はもっと早い可能性があります。書類の受付から処理までに日数がかかることもあるので、渡航日が決まった時点で問い合わせるのが確実です。

継続適用届出書を出すと、ずっと非課税ですか?

上限があります。提出した日から5年を経過する日の属する年の12月31日までです。その日までに「帰国届出書」を提出しなかった場合、「非課税口座廃止届出書」を提出したものとみなされ、非課税口座は廃止されます。

出国中も積立を続けられますか?

非課税口座では続けられません。Q&Aに「出国した日から『帰国届出書』を提出する日までに取得した上場株式等は非課税口座に受け入れることはできません」とあります。継続適用届出書で守られるのは、出国前に受け入れた分の非課税です。

口座が廃止されると、持っている商品はどうなりますか?

非課税口座から払い出され、特定口座や一般口座に移管されます。その際、払出しがあった時の終値で売却したものとみなされ、譲渡益には非課税の適用があります。一方で譲渡損失は「なかったものとみなされる」と書かれています。

含み損があるときに廃止されると不利ですか?

その損失は「なかったものとみなされる」ため、他の口座の利益との損益通算も繰越控除もできません。ただしこれは出国で新しく生まれる不利ではなく、NISAという制度がもともと持っている性質です。同じ内容がQ7にも書かれています。

帰国したら何をしますか?

金融機関に「帰国届出書」を提出します。これを出すことで、再び非課税口座に上場株式等を受け入れられるようになります。提出しないまま5年を経過する年の12月31日を過ぎると、口座は廃止されたものとみなされます。

住民票を抜くかどうかで変わりますか?

この制度は「居住者」か「非居住者」かを前提にしています。住民票の扱いと税法上の居住者判定は必ずしも同じではないため、この記事では判断していません。渡航前の行政手続き全体と併せて、税務署に確認してください。

iDeCoやふるさと納税はどうなりますか?

この記事では扱っていません。一次情報をまだ確認できていないためです。確認できていないことを推測で書かない方針なので、それぞれ別に調べたうえで扱います。

帰国後のキャリアを、数字で設計する

運営者は渡航前年収450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になりました。使ったエージェントと3社並行の進め方をまとめています。

帰国後の転職エージェント比較を見る

関連記事

本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月16日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。