数字から言います。ワーキング・ホリデーの発給要件には、「子又は被扶養者を同伴しないこと」という項目があります(外務省/令和8年4月1日現在)。
つまり、家族を連れて行くことは制度上想定されていません。そして各国の移民当局も同じことを書いています。香港は「配偶者・子の入境申請は考慮されない」、オランダは「家族は同行のための在留許可を申請できない」、デンマークとノルウェーも同様の記載です。
この点は、日本語で調べてもなかなか答えが出てきません。実際に検索すると、質問サイトが上位に出てくる状態です。需要はあるのに、答えが見当たらない。
そして家族帯同以外にも、制度上できないことが複数あります。自営業、公的給付の受給、常用雇用、許可が下りる前の就労——知らずにやると、滞在許可が取り消される可能性のあるものも含まれます。
論点は1つです。あなたがやろうとしていることは、制度の範囲内ですか。
この記事は、渡航前に制度の線を確認しておきたい人に向けて書いています。
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この記事を書いている立場:運営者はカナダのワーキング・ホリデーで12ヶ月を過ごしました。本記事は制度上の制限を公的資料から整理したものです。働ける月数の詳細は就労制限の記事で扱っています。
出典は外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)、およびデンマーク移民局(SIRI)、ノルウェー移民局(UDI)、香港入境事務處(IMMD)、オランダ移民帰化局(IND)、スウェーデン移民庁(Migrationsverket)の各公式資料です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事で扱うのは、運営者が原文を確認できた範囲のみです。制度は変更され、運用も国によって異なります。個別の判断は必ず渡航先の当局にご確認ください。本記事は法的助言ではありません。
結論:制度上できないこと
| できないこと | 確認できた国・資料 |
|---|---|
| ①家族・子の帯同 | 外務省の発給要件/香港・オランダ・デンマーク・ノルウェー |
| ②自営業・事業を営むこと | オランダ/デンマーク |
| ③常用雇用に就くこと | 香港 |
| ④公的給付を受けること | デンマーク/オランダ |
| ⑤許可が下りる前の就労(リモート含む) | ノルウェー |
| ⑥許可が下りる前の入国 | ノルウェー |
| ⑦3か月を超える就学 | ノルウェー |
| ⑧延長 | スウェーデン/オランダ/香港 |
| ⑨同じ制度での2回目 | デンマーク/オランダ/香港 |
ここに国名が挙がっていないからといって、その国では認められているという意味ではありません。運営者が原文を確認できた国だけを記載しています。
そして制度は国ごとに違います。ある国で禁止されていることが、別の国では条件付きで認められる場合もあります。
だから使い方はこうです。①この表で「制限があり得る項目」を把握する →②自分の行き先の当局ページで、その項目を確認する。②が最終的な答えです。
①家族・子を連れて行くことはできません
外務省の発給要件に明記されています
外務省は、ワーキング・ホリデー査証の主な発給要件の1つとして「子又は被扶養者を同伴しないこと」を挙げています。これは特定の国の話ではなく、制度全体に共通する要件として示されています。各国の当局も同じ内容を記載しています。
- 香港(IMMD):参加者に同行するための、扶養する配偶者・子からの入境申請は考慮されない
- オランダ(IND):家族は、あなたのワーキング・ホリデーに同行するための在留許可を申請できない
- デンマーク(SIRI):家族は、あなたのワーキング・ホリデー滞在に同行するための滞在許可を申請できない
- ノルウェー(UDI):家族は、あなたと暮らすための家族移民の許可を申請できない
なお、パートナーがそれぞれ自分の資格で申請することは別の話です。2人とも要件を満たしていれば、それぞれが申請できます。ただし「同伴者」としては認められない、ということです。個別の状況は当局に確認してください。
②自営業・フリーランスとしての就労
オランダ(IND):在留カードの裏面に記載される内容の説明として、「自営業者として働くことはできない」と明記されています。理由は滞在の主たる目的が文化交流だからとされています。
デンマーク(SIRI):就労許可は給与を受け取る労働のみを認めるもので、デンマークで事業を営むことは認められないとされています。
そして違反の扱いも書かれています。SIRIは、許可を超えて働いた場合や自営業を行った場合は違法な労働とみなされ、滞在許可が取り消される可能性があるとしています。
ここは現代的な論点です。「日本の仕事をオンラインで続ける」「現地で業務委託を受ける」といった働き方が、どう扱われるか。本記事では個別の判断を示しません。該当しそうな方は、必ず当局に直接確認してください。自営業・フリーランスの記事で、英国が条件つきで認めている点を含めて整理しています。「日本の会社の仕事だから関係ない」と自己判断するのは危険です。
③常用雇用に就くこと
「一時的な就労」という位置づけです
香港(IMMD):参加者は常用雇用(permanent employment)に就くことは認められず、休暇に付随する一時的な就労のみが認められるとされています。
同様の趣旨は他国にもあります。スウェーデンは「労働が渡航の主目的であってはならず、許可の満了とともに終了しなければならない」、オランダは「滞在を経済的に支えるためだけに働ける」としています。
つまり「現地で就職して住み続ける」ための制度ではありません。そこを目指す場合は、就労を目的とする別の滞在許可が必要になります。
ただし、ワーホリ中に見つけた職場から就労許可の支援を受けられる可能性はあります。これは国と雇用主によります。考え方は雇用主が雇う理由の記事で扱っています。
④公的な給付を受けること
デンマーク(SIRI):滞在中は自分で自分を支えなければならず、社会政策法にもとづく給付、就学援助、住宅手当などを受けることは認められない。受給した場合は許可が取り消される可能性があり、滞在する権利を失う。そして自治体などが給付を支給した場合、SIRIに通知されると記載されています。
オランダ(IND):滞在中に十分な資金があることを要件とし、オランダの公的資金からの社会給付を受けてはならないとしています。
これは「知らなかった」で済まない可能性がある項目です。通知の仕組みまで明記されているためです。
だから資金計画は、公的支援を前提にせず立ててください。資金要件の詳細は資金証明の記事で扱っています。
⑤⑥許可が下りる前に、入国も就労もできません
ノルウェー(UDI)は、申請の結果を待つ間の権利と義務として、「決定が出るまでノルウェーに入国できない」、そして「許可が与えられるまで、リモートワークを含めて働き始めてはならない」と記載しています。
リモートワークが明示されている点に注意してください。「現地に入って、日本の仕事をオンラインで続けながら結果を待つ」という進め方は、この国では想定されていません。
同様に、スウェーデンも初回申請はスウェーデン国外から行う必要があるとし、そうしないと申請が却下される可能性があるとしています。オランダも初回はオランダ国外からの申請が前提です。
つまり「先に行って現地で申請する」は、多くの国で成立しません。審査期間を計算に入れた計画が必要です。申請の段取りの記事で逆算の方法を扱っています。
⑦⑧⑨就学・延長・2回目
それぞれ制限があります
⑦就学:ノルウェーは3か月を超える就学が認められず、超える場合は就学目的の滞在許可が必要とされています。「半年語学学校に通って後半働く」という計画は成立しません。一方デンマークは語学・文化の講座を認め、香港は日本人についてコース数無制限・累計6か月まで、オランダは短期の学習を認めています。国によって幅があります。
⑧延長:スウェーデンは「ワーキング・ホリデーの滞在許可は延長できない」、オランダも「延長できない」、香港は「滞在期間の延長は通常考慮されない」としています。1年で区切られる前提で計画してください。
⑨2回目:デンマークは過去にワーキング・ホリデーで滞在した人には新たな許可を与えない、オランダは交換目的の在留許可を持っていないことを要件とし、香港も同じスキームでの再参加を認めていません。詳しくは参加回数の記事で扱っています。
あわせて読みたいスペインのワーホリ|大使館に2回行く申請の進め方と必要書類スペインは大使館への2回の出頭が必要で郵送は不可。健康診断書、無犯罪証明書、NIEの同時申請、旅行日程表と、他国にはないそして「制限」ではないが、注意すべきこと
①申請代行業者:外務省は「ワーキング・ホリデー査証の申請代行をうたう業者による書類の不適正処理に関するトラブルが報じられている」として、代行業者を通じて申請する場合でも書類の準備を業者に任せきりにせず、政府機関や駐日大使館が発信している情報を自身で確認するよう促しています。
②現地の労働環境:外務省は、制度を利用して渡航した人から「不当に安い賃金で働かされた」「雇用主等からセクハラやパワハラを受けた」という情報が寄せられているとして、現地の労働法規を含めて前もって十分に情報収集することを勧めています。
この2つは制度上の禁止事項ではありませんが、実害につながる論点です。権利の調べ方は労働者の権利の記事、トラブル対応は職場トラブルの記事で扱っています。
読む前に迷いやすいところ|補足
ここからは、細かいが実際に効いてくる補足をまとめます。
運営者の視点:制限を知ることは、自由に動くための準備です
知らないと、選択肢が狭まります
運営者がカナダにいた12か月間、制度上の制限を意識したことはほとんどありませんでした。就労の月数に制限がなく、学校にも通えたからです。だから「制限を調べる」という発想自体がありませんでした。
ところが今回、各国の資料を読み比べて考えが変わりました。国によっては、知らずにやったことで滞在許可が取り消される可能性がある。自営業、公的給付、許可前の就労——どれも「うっかり」で起こり得ます。
そして制限を知ることには、もう1つの意味があります。計画が立てやすくなることです。「3か月しか学校に通えない」と分かっていれば、その3か月に何を学ぶかを決められる。「延長できない」と分かっていれば、1年で何を終えるかを設計できます。
制限を知らないまま行くと、現地で「できないと分かる」ことになります。そのときにはもう時間が減っています。
だから提案します。渡航が決まったら、当局のページで「できないこと」の項目だけを読んでください。多くの場合、数行から十数行です。その数分が、1年の使い方を変えます。
ビザは条件を満たすかどうかより、「いつ動くか」で結果が変わる制度が多くあります。抽選、発給枠、年齢の上限。準備が整うのを待っていると、枠のほうが先に閉じます。
① 段取りごと相談する|留学ジャーナル
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③ 現地で連絡が取れる状態を作る|Glocal eSIM
手続きも仕事探しも、連絡が取れないと止まります。注文から開通まで90日の猶予があるので、渡航前に買っておけます(公式サイトの記載・2026年8月確認)。到着してSIMを契約するまでの空白を、先に埋めておく選択肢です。
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よくある失敗
失敗①:家族を連れて行けると思う
外務省の発給要件に「子又は被扶養者を同伴しないこと」とあり、各国当局も同趣旨です。
失敗②:オンラインの個人事業を続ける
オランダとデンマークは自営業を認めていません。自己判断せず確認してください。
失敗③:公的支援をあてにする
デンマークは受給で許可が取り消される可能性があり、自治体から通知されるとしています。
失敗④:許可前に入国して待つ
ノルウェーは決定前の入国を認めず、リモートワークも禁止と明記しています。
失敗⑤:延長できる前提で計画する
スウェーデン・オランダ・香港は延長を認めていません。
失敗⑥:現地で就職して住み続けるつもりで行く
香港は常用雇用を認めていません。就労目的なら別の許可が必要です。
今日からできる3つのこと
- ①当局ページの「できないこと」を読む:数分で終わります
- ②オンラインの仕事を続ける予定なら、自営業の扱いを確認する:国によって禁止されています
- ③1年で終える前提で計画を立てる:延長できない国が複数あります
ワーキング・ホリデーは自由度の高い制度ですが、制限がないわけではありません。家族帯同、自営業、公的給付、許可前の就労——いずれも当局が明記している項目です。
そして違反は、滞在許可の取り消しにつながる可能性があります。1年の計画がそこで終わります。当局のページを数分読むだけで防げることです。
本記事の内容は外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)、およびデンマーク移民局(SIRI)、ノルウェー移民局(UDI)、香港入境事務處(IMMD)、オランダ移民帰化局(IND)、スウェーデン移民庁(Migrationsverket)の各公式資料にもとづきます(いずれも2026年8月時点で確認)。本記事の一覧は、運営者が原文を確認できた国のみを記載したものです。国名が挙がっていない国について、その項目が認められているという意味ではありません。また制度は国ごとに異なり、ある国で禁止されている事項が別の国では条件付きで認められる場合もあります。オンラインでの業務委託や自営業がどう扱われるかなど個別の解釈については、本記事では判断を示していません。制度・要件は変更されるため、必ず渡航先の当局に直接ご確認ください。本記事は法的助言ではありません。
あわせて読みたいオランダのワーホリ|資金の基準額がない制度の見積もり方オランダ移民帰化局の記載には資金の金額基準がなく「必要な額は自分で見積もる」とされています。就労も月数ではなくフルタイムよくある質問
ワーホリに家族や子どもを連れて行けますか?
制度上できません。外務省はワーキング・ホリデー査証の主な発給要件の1つとして「子又は被扶養者を同伴しないこと」を挙げており、これは特定の国の話ではなく制度全体に共通する要件として示されています。各国の当局も同じ内容を記載しており、香港は扶養する配偶者・子からの入境申請は考慮されない、オランダは家族が同行のための在留許可を申請できない、デンマークとノルウェーも同趣旨です。なおパートナーがそれぞれ自分の資格で申請することは別の話で、2人とも要件を満たしていればそれぞれが申請できます。ただし同伴者としては認められません。
オンラインで日本の仕事を続けられますか?
国によっては制度に反する可能性があります。オランダの移民帰化局は在留カードの裏面に記載される内容の説明として「自営業者として働くことはできない」と明記し、理由を滞在の主たる目的が文化交流だからとしています。デンマークの移民局も、就労許可は給与を受け取る労働のみを認めるもので事業を営むことは認められないとし、自営業を行った場合は違法な労働とみなされ滞在許可が取り消される可能性があるとしています。「日本の会社の仕事だから関係ない」と自己判断するのは危険です。必ず当局に直接確認してください。
現地で就職して住み続けることはできますか?
ワーキング・ホリデーの枠組みではできません。香港の入境事務處は、参加者は常用雇用に就くことは認められず、休暇に付随する一時的な就労のみが認められるとしています。同様の趣旨は他国にもあり、スウェーデンは労働が渡航の主目的であってはならず許可の満了とともに終了しなければならない、オランダは滞在を経済的に支えるためだけに働けるとしています。現地で働き続けることを目指す場合は、就労を目的とする別の滞在許可が必要になります。ただしワーホリ中に見つけた職場から就労許可の支援を受けられる可能性はあり、これは国と雇用主によります。
現地の公的な支援を受けられますか?
受けられません。デンマークの移民局は、滞在中は自分で自分を支えなければならず、社会政策法にもとづく給付、就学援助、住宅手当などを受けることは認められないとし、受給した場合は許可が取り消される可能性があり滞在する権利を失うと明記しています。さらに自治体などが給付を支給した場合はSIRIに通知されるとも記載されています。オランダの移民帰化局も、オランダの公的資金からの社会給付を受けてはならないとしています。通知の仕組みまで明記されているため、知らなかったでは済まない可能性があります。
許可を待っている間に現地へ行けますか?
ノルウェーは認めていません。移民局は申請の結果を待つ間の権利と義務として、決定が出るまでノルウェーに入国できないこと、そして許可が与えられるまでリモートワークを含めて働き始めてはならないことを記載しています。リモートワークが明示されている点に注意してください。またスウェーデンは初回申請をスウェーデン国外から行う必要があるとし、そうしないと申請が却下される可能性があるとしています。オランダも初回はオランダ国外からの申請が前提です。つまり先に行って現地で申請するという進め方は多くの国で成立しません。
滞在を延長したり、2回目に参加したりできますか?
延長については、スウェーデンとオランダが延長できないと明記し、香港も滞在期間の延長は通常考慮されないとしています。1年で区切られる前提で計画してください。2回目についても、デンマークは過去にワーキング・ホリデーで滞在した人には新たな許可を与えない、オランダは交換目的の在留許可を持っていないことを要件とし、香港も同じスキームでの再参加を認めていません。なお日本人が制度上2回参加できるとされているのは、外務省の資料ではカナダ・スロバキア・韓国・台湾の4か国です。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。