数字から言います。ワーキング・ホリデーの就労制限には3つの型があります。そして同じ「6か月」でも、意味がまったく違います。
デンマークは「通算6か月」です。移民局(SIRI)の説明では、12か月の滞在中に働けるのは最大6か月で、月数は「雇用主が給与の支払いを報告した月の数」から計算されます。つまり雇用主を変えても、使った枠は戻りません。
ノルウェーは「同一雇用主で6か月」です。移民局(UDI)の記載は「同一の雇用主のもとで6か月を超えてはならない」。こちらは雇用主を変えれば働き続けられます。
この2つを混同すると、違法就労になり得ます。実際、日本語の情報にはデンマークを「同一雇用主で6か月」と説明しているものがあります。その理解で雇用主を変えて働き続けると、デンマークでは許可の条件を超えることになります。
論点は1つです。あなたの国の制限は、どの型ですか。
この記事は、ワーホリ中に働く予定のある人に向けて書いています。
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この記事を書いている立場:運営者はカナダのワーキング・ホリデーで12ヶ月を過ごしました。本記事は制度の情報を各国の公的資料から整理したものです。
出典はデンマーク移民局(SIRI)、ノルウェー移民局(UDI)、香港入境事務處(IMMD)、オランダ移民帰化局(IND)、スウェーデン移民庁(Migrationsverket)、在日スペイン大使館の各公式資料、および外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)です(いずれも2026年8月時点で確認)。
本記事で扱うのは、運営者が当局の原文を確認できた国のみです。それ以外の国については記載していません。制度は変更されます。就労の可否・上限は必ず渡航先の当局に確認してください。本記事は法的助言ではありません。
結論:制限には3つの型があります
| 型 | 意味 | 該当する国(当局の原文で確認) |
|---|---|---|
| ①通算型 | 働いた月数の合計に上限。雇用主を変えても枠は戻らない | デンマーク(通算6か月) |
| ②同一雇用主型 | 1つの雇用主のもとでの期間に上限。変えれば続けられる | ノルウェー(6か月)/香港(日本人は6か月)/オランダ(1年間は不可) |
| ③明示なし型 | 月数の上限は示されず、「主目的にしない」という条件 | スウェーデン/スペイン |
②の型なら、A社で6か月働いた後にB社へ移れば、働き続けられます。ところが①の型では、A社で6か月使った時点で枠が終わります。B社に移っても働けません。
デンマークのSIRIは明確に書いています。許可を超えて働いた場合や自営業を行った場合は違法な労働とみなされ、滞在許可が取り消される可能性があると。
だから最初に確認すべきは、上限の数字ではなく「何に対する上限か」です。各国の詳細はデンマーク、ノルウェー、香港、オランダの各記事で扱っています。
デンマークの「月数の数え方」が、最も誤解されています
SIRIの説明をそのまま整理します。就労許可は12か月の滞在中に最大6か月の就労を認めるもので、月数は「雇用主が給与の支払いを報告した月の数」から計算される。そして、その月に何日、何時間働いたかは関係ない。
つまり5月に3日だけ働いて給与が発生した場合でも、5月は1か月として数えられます。実労働が3日でも、枠は1か月分減ります。
この制度で最も枠を無駄にするのは「毎月少しずつ働く」という形です。12か月のうち毎月1日ずつ働けば、6か月目で枠が尽きます。実労働はわずか6日です。
だから対策はこうなります。働く月と働かない月をはっきり分ける。渡航前にカレンダー上で「働く6か月」に印をつけ、現地で仕事を受けるときにその月が枠内かを毎回確認する。これは自分で管理するしかありません。
「自営業・フリーランスができる」は、国によります
日本語の情報には「自営業やフリーランス活動はほとんどの国で認められている」という趣旨の記述が見られます。ところが、当局の原文には逆の記載があります。
オランダ(IND):在留カードの裏面に記載される文言の説明として、「自営業者として働くことはできない」と明記されています。理由は滞在の主たる目的が文化交流だからとされています。
デンマーク(SIRI):就労許可は給与を受け取る労働のみを認めるもので、デンマークで事業を営むことは認められないとされています。
香港(IMMD):参加者は常用雇用(permanent employment)に就くことはできず、認められるのは休暇に付随する一時的な就労とされています。
つまり「オンラインで個人事業を続ける」「現地で業務委託を受ける」といった働き方は、国によっては制度に反する可能性があります。本記事では個別の判断を示しません。該当しそうな方は、必ず当局に直接確認してください。
「月数の上限がない」国の読み方
制限がないことと、自由に働けることは別です
スウェーデン(Migrationsverket):就労できる月数の上限は公式ページに示されていません。ただし「スウェーデンにいる間、働くことは認められるが、その労働が渡航の主目的であってはならず、許可の満了とともに終了しなければならない」と記載されています。
スペイン(大使館):宣誓書には「旅行資金を補うために必要な限りにおいて、受入国スペインにおいて効力を有する法令に従って就労が認められている」とあります。
いずれも共通するのは、休暇が主目的であるという建て付けです。月数が示されていないのは「制限がない」からではなく、「趣旨に沿う範囲で」という書き方をしているからだと読むべきです。
だから、稼ぐことを主目的に据えた計画はこれらの国でも想定されていません。資金を作ることが最大の目的なら、制度の趣旨と合っているかを考え直す価値があります。
あわせて読みたいスペインのワーホリ|大使館に2回行く申請の進め方と必要書類スペインは大使館への2回の出頭が必要で郵送は不可。健康診断書、無犯罪証明書、NIEの同時申請、旅行日程表と、他国にはない就学の制限も、同時に見てください
| 国 | 就学の扱い |
|---|---|
| ノルウェー | 3か月を超える就学は不可(超える場合は就学目的の許可が必要) |
| 香港(日本人) | コース数は制限なし。累計6か月まで |
| デンマーク | デンマーク語・文化の講座を受講できる |
| オランダ | 短期の学習・コースは修了してよい |
就労と就学は、セットで設計するものです
ノルウェーは就学が3か月までなので、「半年語学学校に通って後半働く」という計画が成立しません。一方デンマークは働ける月数が6か月に絞られる代わりに、語学講座を認めています。
つまり多くの国は「働くことと学ぶことの両方を最大化する」ことを想定していません。どちらかに寄せる設計になっています。
だから国を選ぶ前に、「働くのか、学ぶのか」を決めてください。そのうえで、それを許す国を選ぶ。順番が逆だと、後から「制度上できなかった」と気づくことになります。
なお香港は、日本人についてコース数無制限・累計6か月と条件が良いほうです。ただし国籍によって条件が違うため、必ず日本人向けの行を確認してください。
あわせて読みたいマルタ・イタリアのワーホリ|枠100名と500名の狙い方2026年、協定国にマルタ(1月開始・枠100名)とイタリア(4月1日施行・枠500名)が加わりました。民間サイトの多く外務省の注意喚起も、あわせて読んでください
外務省は「相手国・地域によって就業職種、同一雇用主の下での雇用期間等につき制限される場合があります」とし、詳細は駐日外国公館へ問い合わせるよう案内しています。
そのうえで、次の注意喚起を行っています。ワーキング・ホリデー制度を利用して渡航した人から「不当に安い賃金で働かされた」「雇用主等からセクハラやパワハラを受けた」という情報が寄せられているとして、現地の労働法規を含めて前もって十分に情報収集することを勧める、と。
就労の上限を守ることと、自分の権利を知ることは別の話です。制度上の上限を気にする一方で、最低賃金や労働時間、休憩の権利を知らないまま働き始める人がいます。
権利の調べ方は労働者の権利の記事、職場のトラブルへの対処は職場トラブルの記事で扱っています。
運営者の視点:制限を知らなかったせいで、損をする人がいます
カナダでは、この問題に直面しませんでした
運営者がカナダで過ごした12か月間、就労の月数を数えたことは一度もありませんでした。気にする必要がなかったからです。だからこそ、他国の制度を読んだときに驚きました。
とくにデンマークの「1日働いた月も1か月」という数え方は、知らなければ確実に引っかかります。到着してすぐ短期の仕事を1日引き受け、翌月も数日働き——そうやって半年が過ぎたとき、実労働は2週間なのに枠が尽きている。そんなことが起こり得ます。
そして怖いのは、本人に自覚がないことです。「まだ全然働いていない」と思っている一方で、記録上は6か月を消費している。SIRIは超過を違法就労とみなし、滞在許可が取り消される可能性があると明記しています。
もう1つ、自営業の扱いも見過ごせません。いまは日本の仕事をオンラインで続けながら渡航する人がいます。ところがオランダもデンマークも、自営業としての就労を認めていません。「日本の会社の仕事だから関係ない」と考えるのは危険です。
だから提案します。渡航が決まったら、当局のページで就労の項目だけを読んでください。英語でも、見るべきは数行です。「何に対する上限か」「自営業は認められるか」——この2つだけ確認すれば、大きな失敗は防げます。
現地の仕事探しで効くのは、応募数でも運でもなく「英語で最初の3分を乗り切れるか」です。電話、店頭での声かけ、面接の冒頭。ここが詰まると、条件の良い求人ほど先に埋まります。
① 話す回数を積む|ネイティブキャンプ
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③ 2社目の見解を取る|ラストリゾート
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よくある失敗
失敗①:「同一雇用主で6か月」と「通算6か月」を混同する
デンマークは通算です。雇用主を変えても枠は戻りません。
失敗②:月数を「実労働日数」で考える
デンマークは給与が発生した月の数で数えます。1日でも1か月です。
失敗③:毎月少しずつ働く
通算型では最も枠を無駄にする形です。働く月と働かない月を分けてください。
失敗④:自営業・業務委託を続ける
オランダとデンマークは自営業を認めていません。判断に迷うなら当局に確認を。
失敗⑤:「月数の上限がない=自由」と読む
スウェーデンもスペインも休暇が主目的という建て付けです。
失敗⑥:就学の制限を見落とす
ノルウェーは3か月を超える就学が不可です。語学中心の計画は成立しません。
今日からできる3つのこと
- ①行き先の当局ページで「何に対する上限か」を確認する:数字より型が重要です
- ②自営業・業務委託の可否を確認する:オンラインの仕事を続ける予定なら必須
- ③働く月をカレンダーに書き込む:通算型の国では、これが管理の実体です
就労制限は、数字だけを覚えても意味がありません。同じ「6か月」でも、通算なのか、同一雇用主に対してなのかで、計画がまったく変わるからです。
家族の帯同や公的給付など、就労以外の禁止事項はできないことの記事で扱っています。
資金の要件は資金証明の記事、年齢は年齢制限の記事で扱っています。
そして超過は、違法就労として扱われる可能性があります。滞在許可が取り消されれば、その時点で1年の計画が終わります。当局のページで数行を確認するだけで防げることです。
本記事の内容はデンマーク移民局(SIRI)、ノルウェー移民局(UDI)、香港入境事務處(IMMD)、オランダ移民帰化局(IND)、スウェーデン移民庁(Migrationsverket)、在日スペイン大使館の各公式資料、および外務省「ワーキング・ホリデー制度」(令和8年4月1日現在)にもとづきます(いずれも2026年8月時点で確認)。本記事で扱っているのは、運営者が当局の原文を確認できた国のみです。ここに記載のない国については、就労条件を確認していないため触れていません。制度・要件は変更されるため、就労の可否や上限、自営業の扱いについては必ず渡航先の当局に直接確認してください。「同一の雇用主」の範囲や、オンラインでの業務委託がどう扱われるかなど個別の解釈については、本記事では判断を示していません。本記事は法的助言ではありません。
よくある質問
ワーホリの「6か月まで」はどういう意味ですか?
国によって意味が違います。デンマークは通算型で、移民局の説明では12か月の滞在中に働けるのは最大6か月、月数は雇用主が給与の支払いを報告した月の数から計算されます。つまり雇用主を変えても使った枠は戻りません。一方ノルウェーは同一雇用主型で、同一の雇用主のもとで6か月を超えてはならないという形なので、雇用主を変えれば働き続けられます。香港も日本人については同一雇用主で6か月です。この2つを混同すると、通算型の国では許可の条件を超えて働くことになり、違法就労とみなされる可能性があります。
デンマークの月数はどう数えるのですか?
雇用主が給与の支払いを報告した月の数で数えます。移民局は、その月に何日・何時間働いたかは関係ないと明記しています。つまり5月に3日だけ働いて給与が発生した場合でも、5月は1か月として数えられます。この制度で最も枠を無駄にするのは毎月少しずつ働く形で、12か月のうち毎月1日ずつ働けば実労働6日で6か月目に枠が尽きます。対策は、働く月と働かない月をはっきり分けることです。渡航前にカレンダー上で働く6か月に印をつけ、仕事を受けるたびにその月が枠内かを確認してください。
フリーランスや自営業として働けますか?
国によります。日本語の情報には「ほとんどの国で認められている」という趣旨の記述が見られますが、当局の原文には逆の記載があります。オランダの移民帰化局は自営業者として働くことはできないと明記し、理由を滞在の主たる目的が文化交流だからとしています。デンマークの移民局も、就労許可は給与を受け取る労働のみを認めるもので事業を営むことは認められないとしています。香港も常用雇用に就くことはできず、認められるのは休暇に付随する一時的な就労とされています。オンラインで個人事業を続ける、現地で業務委託を受けるといった働き方は国によっては制度に反する可能性があるため、当局に直接確認してください。
月数の上限がない国なら自由に働けますか?
そうとは限りません。スウェーデンは就労できる月数の上限を示していませんが、働くことは認められるがその労働が渡航の主目的であってはならず、許可の満了とともに終了しなければならないと記載しています。スペインの宣誓書にも、旅行資金を補うために必要な限りにおいて就労が認められているとあります。いずれも休暇が主目的という建て付けです。月数が示されていないのは制限がないからではなく、趣旨に沿う範囲でという書き方をしているからだと読むべきで、稼ぐことを主目的に据えた計画は想定されていません。
就学の制限もあるのですか?
あります。しかも就労とセットで考える必要があります。ノルウェーは3か月を超える就学が認められず、超える場合は就学目的の滞在許可が必要とされています。つまり半年語学学校に通って後半働くという計画が成立しません。一方デンマークは働ける月数が6か月に絞られる代わりに語学や文化の講座を受講できます。香港は日本人についてコース数の制限がなく累計6か月まで、オランダは短期の学習やコースを修了してよいとされています。多くの国は働くことと学ぶことの両方を最大化することを想定しておらず、どちらかに寄せる設計です。
制限を超えて働くとどうなりますか?
デンマークの移民局は、許可を超えて働いた場合や自営業を行った場合は違法な労働とみなされ、滞在許可が取り消される可能性があると明記しています。怖いのは本人に自覚がないまま超過し得ることで、通算型の国では「まだ全然働いていない」と思っていても記録上は枠を消費している場合があります。なお外務省も、就業職種や同一雇用主の下での雇用期間等に制限がある場合があるとしたうえで、不当に安い賃金で働かされた、雇用主等からセクハラやパワハラを受けたという情報が寄せられているとして、現地の労働法規を含めて前もって情報収集することを勧めています。
帰国後のキャリアを、数字で設計する
運営者は渡航前年収450万円から、帰国後に大手メーカーへ転職して800万円台になりました。使ったエージェントと3社並行の進め方をまとめています。
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本記事の制度・条件・金額は執筆時点で公開情報を確認したものです(確認日:2026年8月8日)。制度や料金は変更される場合があるため、実際の手続き・申請の前に各機関の公式情報を必ずご確認ください。本記事は法的・専門的な助言ではなく、特定の結果を保証するものではありません。